碇久留美は自販機ガチャでリラクゼーションドリンクのチルドリンクを飲むと、イライラギスギスか一切無くなる。
かえって会社の人達から注目の的になり……
みんなと一緒に食事会へ行くことになってしまった。
「いや~~、今日はどうしたんですか?」
怖いもの知らずの男の後輩が問う。
「とぼけないで下さいよ、すっごい穏やかだったじゃないですか?」
「いつもどおりだけど」
久留美はいつものように素っ気なくする。
それを皮切りにみんな、
「あれですか、好きな人が出来たんでしょう?」
「いやいや実は彼氏が出来たんですか?」
根掘り葉掘り。
久留美はテーブルにバンとグラスを置くと、
「残念ながら皆さんのご期待に添えず、すみませんが好きな人も彼氏も一切いませんから!」
一蹴した。
「ええ~~!? じゃあどうして~~!!」
みんな驚愕するしかなかった。
気づくと、夜の10時を回って……
久留美はつい楽しくてアルコールを飲んでしまっていた。
車は置いていくことになり……
駅から降りて家に向かって歩いていると……
あの不思議な自販機ガチャが家路の途中に現れていた。
「あ、あれ~~あの自販機ガチャら~~、他の場所にも置いてあるんら~~」
かなりな泥酔気味に。
「あんたのおかげでね、穏やかになれてみんなとはじめて食事会まで誘われっちゃっちゃ……」
ろれつもまわらない。
そして……また自販機ガチャに百円玉を入れてボタンを押すと、
カチャン……
「あれ? お金戻って来ちゃった……」
もう1度お金を入れ直すと、またお金は戻ってしまい……
「ちょっと~~何でお~~」
バンと1回だけ久留美は自販機ガチャを叩いた。
すると、カラン……
空き缶が足元へ転がってくる。
見ると、あのチルドリンクの空き缶だった。
それを拾って、やっと裏側の文言に気付き……
久留美は読むと。
このチルドリンクはその名の通りリラクゼーションドリンクです。
普段のイライラやモヤモヤなどをこれ1本で一気に解消出来ると共に、仲間や友達と仲良くなることが出来ます。
ただし24時間以内にチルドリンク以外の特にアルコールを摂取してしまうと、永遠にリラクゼーション状態になりますのでお気をつけて下さい。
それを読んで久留美は仰天した。
「24時間以内にアルコール……! 飲んじゃったじゃない私っ!」
大体、永遠にリラクゼーション状態になるって……?
酔っぱらいながら久留美は考えようとするが、正常な思考が出来ず……
「ま、いっかー」
ふらつきながら再び歩きだすと、そこへ1台の大型トラックがスピードを上げて、久留美に向かって突っ込んできて……!
「……久留美ー! まさか車にはねられてこんなことになるなんてー!」
久留美の母親が病院のベッドで植物状態になった久留美にすがって泣いている。
碇久留美は死ぬまで眠ったまま、でも顔はなぜか穏やかだった。
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