自販機ガチャ〈2〉Yクルト1000の悲劇 | いろいろしぃーのブログ

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「すげえ! Yクルト1000が出てきたー!(130円の方)」


今、世間で話題のストレス緩和、睡眠の質飲料。


スーパーにもなかなか買うことが出来ず、直営店かYクルトレディからでないとなかなか入手困難となっている幻の飲み物化している。


それが目の前にあるのだ。


「たった百円玉1枚でYクルト1000が出るなんてなんてお得なんだ!」


51歳、星狩益夫(ホシガリ マスオ)は歓喜する。


その時、益夫は欲を出す。


150円を入れたらどうなるんだろう?


丁度あるのでまたチャリンチャリンと入れて、ひとつしかないボタンを思いきって押してみる。


何が出るかというと……


「え、え、凄い! またYクルト1000だ! しかも最初のよりちょっと多めな……!(150円の方)」


更に益夫は欲を出す。


一応、周りに人はいないか確認してから、今度5百円玉を投入して押した。


ゴトン


さっきより重たい音が聞こえる。


取り出す口に手を入れると、


「ウソだろう!? Yクルトの小さいサイズ7本パックが出てきたー!」


普通だと1000円近くするものだった。


「じゃあ、6百円だとどうなるんだろう?」


パックと単品なのだろうか?


となっていたら、さすがに小銭は無くなり……


「もう百円玉もないな」


なので益夫は思いきって……


千円札を入れて押した!


すると、ゴトン、ゴトン……


何回も落ちてくる音が聞こえてきた!


益夫は慌てて取り出し口に手をやると、Yクルトのパックが次々と落ちてきて……!


詰まらない内にどんどん取り出す。


みんなYクルトだった。


これは凄いとなり……


カバンに入れるものの入りきらず、手でも持たないとダメだとなっていた。


さすがに駅に着く頃には休憩を入れる程、疲れてしまう。


そしてこともあろうにひとつYクルトを落としてしまった!


「大丈夫ですか?」


どこかの女性がYクルトを拾ってくれた。


「わ、たくさん、Yクルトありますね~~、どこで買いました? わたし、未だに買ったことがないんです」


渡そうとしながら、その女性はそう言った。


「そうですか……じゃあ、あのYクルト良かったらどうぞ」


益夫は拾って貰ったYを受け取らずに押し戻す。


「え!? あ、いくらですか?」


お金を払うつもりなのを聞き、つい、


「えーと……千円かな?」


益夫は更に百円だけ値をつり上げた。


その女性は何も躊躇することなく、すんなり千円を出してくる。


「ありがとうございます」


そう頭を軽く下げてお礼を言うと、その女性は言ってしまった。


「ねえ、たくさんYクルト1000あるじゃないの? それどうすんの? 良かったら売ってくんない?」


どうやら先程の女性とのやりとりを見ていたらしく、年配の女性が話しかけてきた。


そして、またYクルトは売れる。


その後もその後も……人が来て……


何と益夫が買ったYクルト1000は全て完売していた!


あまりの人手にパトカーが近づいてくる音が聞こえてきて……!


ヤバイとなり、益夫は駅から離れてまた先程の不思議な自販機ガチャがあるところまで戻った。


すると、


そこには何もない!


「嘘だろう?」


益夫はうなだれた。


でも、なかなかお金は入り潤う。


それでもと見ると、1本だけ最初に買ったYクルト1000が残っていた。


「1本だけか……俺、まだ飲んでないから飲むか……」


何も考えずに益夫はYクルト1000をその場で飲んでしまった!


飲み終わってから、容器にビッシリ書いてある文字が妙に目に入り……


注意! このYクルト1000はストレス緩和、睡眠の質の向上とした飲み物なので、飲むとてきめんに効きます。


なので家に帰ってから飲んで下さい。


外で飲んだりすると、ところ構わず眠ってしまいます。


「ええっ!」


と気づいた時には遅く、益夫はその場で眠ってしまった。


次に気づいた時には、掃除のおじさんに起こされてしまい、しかも朝になっていた。


自宅からも何回か着信が入っているのを今更確認。


そして……!


「ああ! 俺のカバンがないっ!」


財布はかろうじてあり、しかも中身は無事だったが、Yクルトで稼いだお金は全てカバンにいれてしまったのだ!


しかも……カバンには会社の資料やUSBまで入れてあり……


Yクルトの注意事項を読まなかったせいで、とんでない代償を払うことになってしまった。


 

続き