そして……
房家天乃が、空徐伊湾の家へ電話をしたことで伊湾がグチ袋を使ってしまう事態に……
そのせいもあり、
『ちょっと天ちゃん、空徐君の家に電話して凄い説教したんだって?』
すぐにその夜、矢張李々佳から着信がある。
あのヤロウ! 私に言い返さないで李々佳に文句言いやがったか~~!
「うん、あまりにお母さんが電話の対応が尋常じゃなかったからね。
お母さん、秘書か何か? どう言った要件ですかって? いちいち電話かけてきた人に聞くもん? おかしいよ、空徐のお母さんって……」
『何で家電にかけたりするの? 言ってくれたらケー番教えたのに! しかもお母さんのことで空徐君に文句言うなんて酷い!』
ええ!? 李々佳ってこんなに感情的になったこと今までなかったのに……
今日はいつもと違い、何だか別人みたいだと天乃は戸惑う。
「酷いって……どちらかいうと空徐のお母さんの方がどうかと思うけど、息子に電話あったから干渉してきたんだよ、あれは」
何とかお母さんがおかしいことを李々佳に判って貰おうとするものの……
『私、まだ空徐君の家にも行ったことないし、お母さんともかなり昔にちょっと話しただけたのに……天ちゃんはどうして、そうあっさりさー……』
李々佳の中に、天乃に対して少し嫉妬やら羨ましさもあったようで……
天乃は、
「あ、あの……李々佳、落ち着いて? 空徐君……もしかしてさー隠れマザコンかもよ? お母さんのこと文句言って怒ったってことなら、尚更信憑性あるし……」
何とか伊湾の母親だけでは忠告しようとするが、
『そんなことないよ! マザコンなんて勝手なこと言わないで!』
全く受け付けず……
「李々佳……ちょっとどうしたの? 空徐に何言われたの?」
天乃は戸惑う。
『凄い……天ちゃんに怒られたって、だから天ちゃんと付き合い止めた方がいいって!』
え? 空徐ってそこまで言ってくる奴だったの?
何だ、あいつ……
空徐伊湾に対して、天乃はだんだんふつふつと何かが沸き上がってきた。
『だから天ちゃんなんて嫌い! もう連絡してこないで!』
ダメだ、完全に空徐伊湾に洗脳されている。
ていうか急に人が変わったようになり……
「……判った、李々佳がそういうなら、でもね、きっと後悔すると思うよ」
『後悔なんてしないから! もう拒否るからね!』
そう言うと李々佳は先に電話を切った。
「嘘でしょう……」
天乃は驚く。
李々佳はあまりここまで感情的に怒ったことがなくて、しかも自分から先に電話も切ったことがなかった。
「もしかして……」
私以外にも苦情承りますを使っているとか? 例えば、空徐とか……!?
天乃が空徐の家に電話をした後から急だったと、李々佳に電話を切られてから気づく天乃だった。
続き