苦情承りますをオーダーして数分後、
「ママー! 外に何か置いてあるよ~~!」
娘が天乃を呼んでいる。
「え~~?」
天乃が見に行くと、
「ほらね」
と娘は指をさす。
「ええ!? いつの間に?」
ドアの外には箱が置いてあった。
名前はしっかり房家天乃宛になっている。
「あーママのだあ~」
と慌てて取り繕う。
「ピンポン来なかったね、何入ってるの?」
5歳ぐらいとはいえ、しっかりしていた。
「いいの……内世(ナイヨ)には関係ないものよ」
天乃はごまかすと、
「ふう~~ん、ケチ~~」
と外へ出て行った。
「こら! 勝手に出たらダメよ」
とりあえず、荷物を置いて娘を追いかける。
しばらくして外から帰ってきて、そして娘がお昼寝をしてから天乃はやっとあの荷物を開けてみた。
中にはグチつぼと苦情袋が入っており……
取説も入っている。
そして、
「……愚痴はええ~~!? 1回だけって……まあ仕方ないか、お試しだし……」
その代わり、苦情袋は紙に書きたいだけ書いた苦情分を引き受けてくれるらしい。
「苦情を承るってある意味凄いなー何でもいいんだ……」
何の苦情を書こう? と天乃は考える。
書き出して見ることにした。
①私は夫の実家に入りたくないのに、夫が自分の考えを押し付けてくるから止めて欲しい。
②娘が最近、言うことをきかないので困る。
③夫と別居したいが言い出せないし、資金がない。
まだまだいろいろ書く天乃。
苦情って意外と難しい。
だんだん、こうなったら良いと言う願い事になっていく。
「慎重にしないとすぐには実行出来ないな……これは……」
天乃はわりと冷静で慎重だった。
そんな時、着信がある。
見ると、矢張李々佳からだった。
『聞いて! 聞いてー! 天ちゃん、あのねーわたし、空徐君と付き合うことになったよ』
トントン拍子過ぎて、天乃は心の中で嘘でしょーーーっ! と叫んでいた。
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