覚えのない白い封書が投函配達されていた。
ここはマンションなので同じ棟が何棟かある。
部屋番は同じだけど、棟が違う。
ここは1棟、ここの封書に記されているの2棟。
部屋番は102号、どらちもだ。
「マジかよ、間違えて配達しやがった……」
町替良得(マチガエ ラエル)は舌打ちをした。
本当に配達される相手方の名前は此方賀星夏(コチラガ セイカ)。
女か。
送られてきた先はAmezoh、あー大手のネット通販。
ものは……
ギフト?
「どこがギフト? こんなうっすい封書で?」
町替は触る。
薄すぎてよく判らない。
どうしようかな~。
配達した奴は間違えたわけだから、ほぼ取りになんてこないだろう。
例え間違えて取りに来たとしても来てないと突っぱねればそれで終わりだ。
何で間違えた配達物をオレが親切に届けないといけねーんだ! そんなのごめんだね。
てことで、
「開けちまえっ!」
町替は封書の封を切ってしまった!
ビリリ……と思いきり開けた。
中には、
「チラシ?」
やっぱり薄いチラシのような冊子が入っていた。
それはクリスマスのオモチャのカタログみたいになっていて……
でもそれをめくった時だった。
これが届いたら、どれかを選ばないと必ず呪われて2週間後にやがて死にます。
必ず選んで下さい。
尚、拒否する場合は必ず3日以内に他の人に送って下さい。
間違えて本人宛てでないのに開封した場合はこれはあなたのものです。
お気をつけ下さい。
などと注意書きが記されていた!
まるで、これは最初から自分が開けるかのように……
「えええ~~~~! 何だよこれ~~!? 選ばないと呪われるって……」
しかも間違えて開封した場合はその人のものって……
「どういうことだよ?」
何か怖いからとにかくその薄いカタログらしきものを見る。
見ると……
「うわっ! これ、呪いのグッズじゃねーかよ!」
呪いの人形などが出て来て、人形にもいろいろあった。
オーソドックスなわら人形、ブードゥ人形、それからぬいぐるみやら、端正な顔立ちのアナベルのような人形まで……
「どうみても……やっぱり、呪いの人形の通販じゃんか……」
町替は身震いする。
「……無視したら……もしも呪われたらこえ~~し、う~~ん……」
よし、封をし直して、その本当の宛先の此方賀星夏の部屋番のポストへ入れてしまおう!
町替はガムテープで思い切りビリビリの封の上にベッタリと貼ると、
「よしっ」
封を切ったように見えなくなる。
そうして、隣の2棟の102号室の部屋のポストへ投函してきた。
これでよしっ! 心の中で胸を撫で下ろすと、静かにそして自分の部屋まで戻った時だった。
「ええっ!? ウソだろう?」
なんと今しがた隣の棟へ投函した封書はまた町替の部屋ポストに差し込まれていた……
続き