新築住宅には厳しく中古住宅にはとても優しい

                2026年度の住宅ローン減税

 

2025年12月中旬、与党税制調査会より2026年度税制改正大綱が公表されました。
最大の注目点であった、いわゆる「103万円の壁」については、178万円まで引き上げることで国民民主党との合意が成立しており、今後は閣議決定を経て、1月の通常国会で可決・成立する見通しです。

今回の税制改正で、不動産・住宅分野において特に重要なのが「住宅ローン減税」の見直しです。
近年、都市部を中心に住宅価格が高騰する中で、税制によってどこまで購入者を支援できるのかが焦点となっていましたが、最終的には政治的判断も踏まえ、新築住宅については2025年度までの制度をほぼ維持する一方で、中古住宅の優遇を大きく拡充する形で決着しました。

中古住宅は流通量が多く、減税による恩恵を受ける方が幅広いことから、より多くの購入検討者を後押しできる制度設計となっています。
具体的には、新築・中古ともに住宅ローン減税の対象となる床面積要件が、これまでの「50㎡以上」から「40㎡以上」へ緩和されました。また、控除期間も新築・中古ともに「13年間」に統一されており、これは住宅購入を検討されている方にとって非常に大きなメリットと言えるでしょう。

新築住宅は「住宅性能」がこれまで以上に重要に

新築住宅については、国のカーボンニュートラル政策を背景に、住宅性能に応じた優遇措置が引き続き重視されています。
長期優良住宅やZEH住宅など、一定の性能基準を満たす住宅については、住宅ローン減税の元本上限や子育て世帯・若者世帯への上乗せ措置が2030年まで5年間延長され、控除期間13年、元本上限額も2025年度までと同水準が維持されました。

一方で、「省エネ基準適合住宅」については、元本上限額が引き下げられることになりました。
さらに重要なポイントとして、2028年以降に新築される省エネ基準適合住宅は、住宅ローン減税の対象外となることが決まっています。これは、今後さらに省エネ基準が引き上げられることを見据えた措置であり、国が2050年のカーボンニュートラル達成に本気で取り組んでいる姿勢の表れと言えます。

そのため、これから新築住宅の購入や建築を検討されるお客様には、将来の資産価値も見据え、「最低でもGX ZEH水準」を基準に考えていただくことが重要になってきます。

災害リスクエリアでの新築にも注意が必要

また、2028年度以降は、土砂災害や洪水・浸水リスクが高い「災害レッドゾーン」に指定されているエリアで新築住宅を建てた場合、住宅ローン減税の対象外となる点にも注意が必要です。
ただし、すでに建っている住宅の建て替えや、中古住宅の購入については引き続き減税の対象となるため、新築住宅に対してはより厳しい条件が課される形となっています。

 

中古住宅は住宅ローン減税が大幅に拡充されます

今回の税制改正では、中古住宅に対する住宅ローン減税が大きく見直され、新築住宅に近い水準の優遇措置が用意されました。
これにより、中古住宅はこれまで以上に「選びやすく、安心して検討できる選択肢」になっています。

まず、住宅ローン減税の対象となる床面積要件が、新築・中古ともに「40㎡以上」へと緩和されました。
※なお、ここでいう床面積は内法面積が基準となりますので、間取り図に記載されている壁芯面積とは異なる点にはご注意ください。

あわせて、控除期間も13年間に延長されています。

さらに、中古住宅であっても、長期優良住宅やZEH住宅など、住宅性能の高い物件を購入した場合には、住宅ローン減税の元本上限額が
**3,500万円(子育て世帯・若者世帯は4,500万円)**まで引き上げられました。

これまで(2025年度まで)は元本上限が3,000万円で、子育て世帯・若者世帯への上乗せ措置もなかったため、中古住宅としては非常に大きな優遇拡充と言えます。

一方で、省エネ基準適合住宅については、元本上限額は引き続き2,000万円となりますが、子育て世帯・若者世帯については新たに3,000万円まで引き上げられました。
なお、2028年以降は一般住宅と同様に、元本上限額が一律2,000万円となる予定です。

中古住宅は2028年以降も住宅ローン減税の対象に

2028年以降、新築住宅の一部が住宅ローン減税の対象外となる一方で、中古住宅については引き続き制度の対象となります。
中古住宅の場合、元本2,000万円を上限として、毎年最大14万円の控除を10年間受けることができ、最大で140万円の税負担軽減が見込めます。

これは、新たに住宅を建設する際に発生する温室効果ガスの排出を抑え、すでに建っている住宅を有効活用していくという国の方針を反映したものです。
言い換えれば、「中古住宅を購入すること自体が、税制面でも後押しされる時代」になったと言えるでしょう。

中古住宅市場は今後さらに活性化へ

このような制度改正を背景に、2026年以降は中古住宅市場が一段と活発になることが見込まれます。
加えて、中古住宅を購入したうえで、断熱性や省エネ性能を高めるリフォーム・リノベーションを行う場合には、別途補助金制度も用意されています(2026年は総額約3,780億円規模)。

住宅ローン減税と補助金を組み合わせることで、コストを抑えながら、安心・快適で性能の高い住まいを実現できる点は、中古住宅ならではの大きな魅力です。

今回の制度変更を正しく理解し、お客様にしっかりとお伝えすることで、安心して長く住める既存住宅の流通を広げていくことが、私たち不動産会社の重要な役割になっていくと考えています。