今、台風が九州地方に近づいて、強風と大雨に注意が必要な状況だ。東日本でも、小笠原諸島から伊豆諸島へと台風が近づき、北海道の太平洋側を駆け抜ける予報となっている。いよいよ台風シーズンに入ろうとしている。


 子供の頃、台風といえばとにかく怖かった。家に留まりどこにも出かけない。風がビュービューと吹き荒れ、雨がバチバチと屋根や窓に叩きつける。玄関の引き戸や窓はガタガタと震え、壊れてしまうのではないかと思うほどだった。

 青森市では洪水に見舞われやすい地区が幾つかあったものの、僕が住んでいた地域では稀で、幼い時に一度床下浸水があったものの、小学生の途中で引っ越した先でも浸水被害はなかった。なので、台風といえば大粒の雨と強い風が恐ろしいという印象がとにかく強い。

 一方で、もっと風が強くなればどうなるんだろうとか、もっと雨が大量に降ればどうなるんだろうという『怖いもの見たさ』の感覚もあった。この感覚は雷でも同様で、どれだけ大きい音が鳴って雷が轟くのか、もっと大きな音で鳴ることもあるのだろうかと、恐怖と興味が入り混じった感覚を覚えている。光ってから雷鳴が轟くまでの時間が短ければ近くで鳴っていると知ってからは、もっと近づいたらどうなるのだろうか、最悪雷が落ちたらどうなるのだろうかと、やはり同様の感覚があった。


 今では、台風が各地に近づくたびに、とにかく被害のないままに通り過ぎることを願っている。河川の氾濫、洪水、浸水、風による建物の破損や倒壊、最悪の場合は人的被害も考えられる台風や線状降水帯。何事もなく通り過ぎてほしいと思う。


 それにしても、子供の頃の怖いもの見たさの感覚は面白い。


 その感覚が物事に対する興味の原点なのだろう。