昨日、ドジャースの大谷翔平選手がジャイアンツとの試合で、敵地オラクルパークでライトスタンド後方に広がるマッコビー湾に直接放り込む豪快な一発を放った。ジャイアンツの選手ならば『スプラッシュヒット』と言われるこの『着水』ホームランを打った日本人は、大谷翔平選手が初めてである。
一日経った今日の解説は、元大洋ホエールズの名ショートとして名を馳せた山下大輔さんだったのだが、随分以前の話をしてくれた。
今回のマッコビー湾の様に歴代の名選手の名を冠した場所や建物は結構あると言う話から、2002年にメジャーリーグのとある試合を中継していた時に話は及んだ。
解説をしていた山下さんはNHKの実況担当のアナウンサーに、「球場の少し先に私の名前が付いた場所があるんですよ」と言い、「『山下公園』なんです」とオチを付けた。ここで終われば単なる冗談の蒸し返しなのだが、その先の余談には驚いた。
メジャーリーグ中継は時差のために朝早くから放送されるため、ナイター中心の日本のプロ野球選手がメジャーリーグ中継を見ようとすれば生活のリズムにずれが生じる。中継で冗談を放ったその日、ナイター中継の解説のために東京ドームを訪れると、普段は黙々と練習をしている松井秀喜選手が歩み寄り、「山下さん、今日の山下公園の話は最高でしたよ」と言ったのだそうだ。
その年は松井選手がメジャーリーグに挑戦するかどうかの去就が注目されていた正にその年で、松井選手の声がけを聞いた時に、(あっ。朝早いのに見ているのは、やはりメジャーリーグ行きを考えているのだ)と感じたそうだ。
結果、松井選手はヤンキースに入団をしてメジャーリーグでの経歴を積み上げて行く。日本人選手としては初の長距離バッターの成功で、通用しないのでは無いかとの不安の声を見事にかき消す活躍を見せてくれた。
夢を夢として終わらせず、心に秘めて実現をした松井選手に改めて敬意を表する。
と同時に、隠れた後日談をこんなに楽しい切り口から披瀝してくれた山下さんに感動を覚えている。