各地で咲き誇る桜。その多くがソメイヨシノで、挿木(さしき)であちこちの川沿いの遊歩道や公園、お城などに植えられた。当然寿命が来る。放っておくと40年とも言われるが、弘前公園の桜は100年を超えるものが300本以上存在する。

 弘前市役所には公園緑地課があり、樹木医が複数人在籍している。この課のスタッフが開花状況を確認するのだが、花の季節が終わると、一本一本剪定のための調査を行い、その後作業をする。樹勢が衰えそうな木には治療を施してゆく。年間を通して作業は続く。

 青森県津軽地方はりんごの全国有数の産地である。職を失った元津軽藩の武士達が働く場所が無いことに危機感を感じ、有志でりんごの栽培を始めて定着させた。

 桜とりんごは同じバラ科に属するため、その植生は似ている部分がたくさんある。りんごの栽培で培った技術が弘前公園の桜の生育環境を守ることにも繋がっている。

 桜守りとして地元では知らない人がいないという有名な方がいる。弘前市職員だった小林勝さんである。樹木医として長年弘前公園の桜を守り、3年前に退職された。在職中から各地に講演や現地視察にと飛び回っていた小林さんは、今も全国各地から請われて出向いている。

 手をかけなきゃすぐ枯れるんだ。手をかければ幾らでも元気でいる。とみんなに伝えながら。


 弘前公園の最長寿のソメイヨシノは樹齢140年と言われる。華やかなまでに広がる枝に溢れんばかりの花を付け風に揺れるその姿は艶(あで)やかだ。


 開花が発表された弘前公園を来週訪れるつもりだ。