僕は、スポーツは何でも人並み以上にこなし、小学校では、体育の時間に班分けをして対決をする時には、ぼくを最後にしてバランスをとってどこか班に入れられたということもしばしばだった。
勉強もそこそこで、中学3年の時、雪田先生が仲間同士で勉強を教わりたいとすれば誰?というアンケートで、僕は多くの友達に票を入れてもらえた。いつも、休み時間に友達に分からないところを聞かれて、よく教えていたこともあったと思う。
ところが、受験が迫る中、放課後の一時間の自主勉強会でみんなの分からないところを教えてあげる役割の僕は、「今日は観たいテレビがあるから帰ります」と先生に伝えて帰ろうとした。その時、先生は「お前が教えないでどうする」と僕を叱った。僕は、義務ではないことを強要されたことに苛立ち、教室の扉を力任せに閉め、教室を出た。
後悔と反省で体育館に隠れていた僕を、投票してくれた仲間が6〜7人で僕を探して、見つけてくれた。悔しさと馬鹿らしさと恥ずかしさで身動きの取れなくなっていた僕に、友たちは口々に言ってくれた。「先生のとこに行こうよ」「あれはやっぱりまずいって」などなど。
僕は友たちと一緒に教室に戻った。そして、先生の前に行き、謝った。先生は黙って頷いた。
雪田先生との思い出。その一。