小学校に入学すると周りはお兄さんとお姉さんだらけで、6年生とは7歳と12歳で5歳も違うのだから、体格から話す雰囲気、遊びに至るまで、まるで大人と子供のようだったのではないかと想像する。

 そして中学に上がると、最上級生として過ごした小学校での最後の一年間が嘘のように、また一年生からやり直す。


 中学生活を最上級生として存分に楽しんだ僕は、高校入学の準備で一人で高校に行った。春休みだったから生徒のいる気配はさほど感じられず、ただ部活の喧騒だけが遠くから伝わってくる。

 と、女子生徒の話し声が聞こえてきた。僕が内履きに履き替えて廊下に出ようとした時、4〜5人の女子生徒が目の前に現れた。部活終わりだろう三年生と思われる先輩たちは僕を見るなり「かわいい」とか「見てみて」とか言い始め、あげく「こんにちは」と話しかけてきた。その後またみんなでキャッキャッしながらゆっくりと去って行った。

 僕はなす術なく立ちすくみ、色々な感情と向き合っていた。最上級生から高校に上がればまた大人への階段を一段上がると自信満々だった。ところが、「かわいい」と言われた。つい最近まで「かっこいい」と言われていたのが一気に幼子扱いだ。ショックだった。

 もうひとつ。これがたまたまではないだろうと感じたこと。男子よりは体格が少し小さい女子とは言え、先輩達は大人に見えた。僕はあと数日で入学式を迎えはするものの、中学生を卒業したての少年以外の何者でも無かった。

 その後も男子の先輩達を見かけると驚くほどの体格差と大人びた雰囲気に圧倒された。中には一日や二日ではない無精髭を生やしている先輩もいた。


 こうして僕の高校生活は始まった。