立ち並ぶ出店(でみせ)を端まで進むと、外堀にかかる赤い橋が見えてくる。園内で一番長い春陽橋である。この橋から左側へと続く西濠は、外濠の中で一番広く、奥の方では手漕ぎボートも楽しめる。この橋を写真に撮ったり、この橋の上から外濠の左右に並ぶ満開の桜を写真に収めるのも良い。ただし、とても混み合うので、ちょっとの我慢と時間が必要だろう。
橋を戻り、右手の道に入る。ここからが西濠沿いの遊歩道、『桜のトンネル』だ。300メートル程続くこのトンネルでは、途切れることなく左右に桜の木が植えられ、まさに陽の射す明るいトンネルだ。視界を埋め尽くす桜の花の数は、園内で一番の濃密さだと思う。
右手には西濠にボートが浮かび、桜の花びらが舞う。左手は、園内を流れる小川越しに見上げる土手が並走し、人の流れも少なく穏やかな表情を見せてくれる。
桜のトンネルを過ぎると左に折れて、工業高校口から再び園内に入る。右手の道を緩やかに登りながら200メートルほど進むと、二の丸に出る。これで二の丸から本丸、出店、春陽橋、桜のトンネルと一周した格好だ。
あとは右手の南内門をくぐって戻り、最初に入って来た追手門へとゆっくりと歩いて行こう。
(おわり)