橋を渡って左側に、またも黒塗りの大きな楼門が凛と立っている。南内門である。この門から覗く景色は、最初にくぐった追手門からの風景以上に華やかさを増す。奥に広がる二の丸は桜も厚みを増し、より黒とピンクのコントラストが鮮やかだ。
二の丸に足を踏み入れる前に、南内門の黒い縁取りで二の丸の桜を写真に収める。他の観光客を全くフレームに入れないでシャッターを切るのは無理なので、折り合いをつけてパシャリ。念のためにもう一枚。
門をくぐるとまずは正面の桜並木の奥の人だかりに気づくことだろう。桜並木を抜けて振り返ると、お目当てのものがある。ピンク色の桜の花がハート形に抜けて、空がのぞく。ここも定番の写真スポットだ。人物とハートを一緒に写真に撮るのであれば、少しだけ順番を待つ覚悟が必要になるが、それもやむを得ない。旅の大切な思い出になるのだから。
三重の濠の中で一番内側の内濠に沿って右に歩くと、やがて左手の奥に内濠の上に掛かる朱塗りの橋が見えてくる。下乗橋である。まっすぐ伸びる内堀の水面、そして覆いかぶさるように枝を伸ばす桜と真っ赤な橋は僕の大好きなスポットだ。
さらに進んで、先ほど写真に収めた下乗橋を渡り、本丸へと進む。ここから先は有料区間なので、左側にあるスタンドで320円を払って入場券をもらう。この券があれば当日は何回でも出入りできるので、無くさないように。
(つづく)