弘前公園は、外濠(そとぼり)があり、楼門があり、歩き進むと中濠があり、また楼門があり、内濠がある。そして、朱塗りの下乗橋を渡り天守閣のある本丸へと進む。そこから眺める岩木山は圧巻だ。弘前公園はかなり立体的な表情を持つ。
公園の入り口は数ヶ所ある。まずは追手門。東門に中央高校口に亀甲門(きっこうもん)。そして、一陽橋を渡って四の丸へ、あるいは春陽橋を渡って桜のトンネルへなど。あと、工業高校口と市民会館口もある。
とは言え、一番弘前城らしさを感じられるのは追手門からのアプローチだと思う。
順に説明したいと思う。
まずは、弘前公園をぐるっと囲んでいる外濠(そとぼり)。桜はこの外濠から内へと向かって咲き始める。僕はいつも、市役所と観光館の向かいにあり、外濠が切れている場所に聳(そび)える黒塗りの追手門(おうてもん)から公園に入る。
外濠をぐるりと囲む桜だけで既に美しい。園内の桜が満開を迎える頃、外濠の桜の花びらは散り始めて、濃密な桜吹雪となる。ちなみに、ここ追手門前の外濠が、桜の花びらが散って濠の水面をピンク色に埋め尽くす『花筏(はないかだ)』で有名な場所だ。
追手門の前に立つと、公園内の風景が門の間口の大きさに切り取られて、まるで黒く縁取られた風景写真のようだ。桜の木も重なり合って美しい。
いよいよ公園に足を踏み入れる。右手に進むと、道が真っ直ぐに伸び、やがて中濠に当たる。水辺の桜が美しい。左に曲がると5、6件ほどの出店(でみせ)が並ぶ。この中に、弘前市では有名な『成田専蔵珈琲店』も出店しているはずだ。テイクアウトで楽しみたい。
朱塗りの『杉の大橋』からは、右手に真っ直ぐ伸びる内濠と桜が荘厳かつ鮮やかで、橋の赤い色とともにぜひとも写真に収めたい景色だ。
(つづく)