日本語は漢字とひらがな、カタカナで書き表すことができ、とても広くて深い表現を可能にしていると思う。中国から渡来した漢字は一文字一文字意味があり、そこに柔らかいひらがなと、より『音』を意識させるカタカナが混じり合い、日本語でなければ表現できない世界を作り上げる。

 世界中の言語には漢字のような表意文字(表語文字)と表音文字に分かれるが、その両方を組み合わせて使う日本語は独特である。


 人類は『火』を利用し、『言語』を発達させ、最後に『文字』を発明した。


 旧人から100数十万年、ホモサピエンス

の20万年の歴史の中で、最初の文字はわずか5500年前である。ホモサピエンスの歴史の3%にしか過ぎない。

 イラクの古代メソポタミア文明のウルク遺跡から発見された原くさび形文字(きっけいもじ)。そして中国では甲骨文字から漢字にと発展してゆく。さらにエジプトで発明されたヒエログリフはヨーロッパに渡りやがてアルファベットになる。

 しかし、自然発生的に生まれて広がっていった言語とは違い、古代から文字は権力者のものであり集権体制へと繋がってゆく。その事実が一般の人々との格差の固定化をもたらした。一般の人々が文字を使うようになるのはここ数百年のことである。


 しかしながら、文字の文化面、研究面での効果は絶大だ。文字の発明以前には口伝(くでん)でのみで伝えられて来た知識や経験が写し取りさえすればどこまでも運べるものとなり、また、世代を超えて膨大な情報を伝えられる。圧倒的な記憶媒体を得たと言っても良い。


 それらの文字は、印刷技術によって多くの人々に広がる。中国や日本では木版印刷であり、西洋では文字数が少ないことから金属活字を利用し活版印刷が発明される。新しい時代の幕開けである。印刷された書物は世の中に出回り、さらに多くの研究者を産む。こうして次第に研究が進み、やがて西洋では産業革命へと発展する。


 現在では、デジタル化された書物や論文などの莫大なデータベースを利用して、AI技術の進歩が加速している。


 宇宙にも進出しようとしている人類は、この後どこまでの発展を遂げるのだろう。