今、中国で、ヒトメタニューモウイルスが流行の兆しを見せているとのニュースが飛び込んできた。しかし医療関係者もWHO(世界保健機関)も、例年通りの流行であることと、致死率が非常に低い、いわゆる風邪(かぜ)症状ウイルスの一つであることを伝えていた。
現在、よく言う風邪の症状を引き起こすウイルスで、詳しく研究されていないものは50種類位あるだろうと言われている。しかし、重篤な症状を引き起こすものでなければ躍起になって調べるまでもないことから、放っておかれていると考えて頂きたい。
ヒトメタニューモウイルスもこれらに近いものということだと思う。いわゆる『かぜ』の症状を引き起こすウイルスだと。
昔々、日本の医者達(漢方医)は、はっきりと原因がわからない病気のことを『風邪(ふうじゃ)』と称した。風に乗って悪しきものが体に触れ、入り込むとの概念である。消化器系の痛みを伴う病気であれ、伝染病であれ、多くは風邪(ふうじゃ)が原因とされた。目には見えない風邪(ふうじゃ)が、想像で妖怪のような姿で描かれて、本として売られてもいた位、その考え方は浸透していた。
時代は進み、西洋医学の発展と日本国内での研究者が増えることにより、次第次第に病気の原因が詳(つまび)らかになってゆく。その段階で顕微鏡の果たした役割は非常に大きかった。
そして、それぞれ別個のウイルスに起因するものの重症化しない、ほとんど似かよった症状の病気が残り、古来から言い習わされていた風邪(ふうじゃ)が読み替えられて、風邪(かぜ)となった。
僕がこれらの情報に触れたのは5〜6年前。更新された事実があれば容赦願いたい。