今年は大変な勢いで雪が降り積もり、大雪だ災害だとネットでも多くの投稿が見られる。行政もみんなそれぞれ一生懸命対応しようとしていながら追いつかないのだから、仕方ない。
こういう状況も年月を経ると、あの時は大変だったと『言葉で振り返る』事になる。決して、毎日続く苛立ちの実体験を繰り返すのでは無い。時は痛みを少しだけ和らげ、感動を増幅させてくれる。
雪には音がある。僕が子供の頃は、外壁がモルタルの家が多く、また木板(きいた)の外壁の家も多かった。僕の家も木板の家で、当然隙間も多く寒さも伝わりやすい。
街の音、テレビの音、家族の会話などがざわめく時間帯は雪の音は聞こえない。皆んなが寝静まった時、自分も布団にくるまれている時に感じられる音であり、気配である。
外壁の板材に打ち付ける少し堅めの雪の音はプチプチだったりパチパチだったり、雪の堅さ、粒の大きさによって響きは変わる。
そして、古くから日本語の表現で『しんしん』と表現される雪が積もる音。風がなく、雪の粒が外壁に当たらずに、直接雪の上に落ちてゆく音が聞こえる。そんな馬鹿なと思われるかもしれないが、よく感じる音である。
その音は文字にすると『みっみっ』とか『しっしっ』と言う様に感じられる。小さな雪の粒が、積もった雪の上に重なり落ちる音が無数に集まって聞こえる音。厄介な雪なのに、心が落ち着いてゆく音の風景。郷愁そそられる音と、目を閉じて想像する『降る雪』。
ふるさとの冬の音を思い出すと、幾つになっても心が落ち着くのは不思議なものだ。