天才のひらめき
今日、2年前に放送されたNHK『ヒューマニエンスQ(クエスト)』を観た。織田裕二さんがMCを務める科学番組で、今回は『天才のひらめき』にスポットを当てていた。
ひらめきを日々現出させているとして注目したのが将棋の世界の人達で、詰将棋をしながらMRI撮影して分析をした。その結果、思考を司る大脳皮質ではなく、更に原始に近い大脳基底核という場所が働いているという。当然、沢山の問題を解いて蓄積された(学習した)ものがあるからこそではあるが、考える(大脳皮質を使う)のではないのだ。
ゲスト出演した棋士の田中寅彦九段が、一瞬だけ盤面問題を見て目を閉じる詰将棋のことを面白い表現で伝えてくれた。一瞬しか見ない問題でも、詰める(解ける)問題は気持ちが良いと感じ、詰めない問題は気持ちが悪いと感じるのだそうである。見たその一瞬だけでである。
僕は以前から多少文章を書いていて、9月からはブログを始めて毎日何らかの話題で文章を纏(まと)めている。実は、僕も文章を書いていて同じ感覚を持つことが多々ある。
あるトピックスが一瞬頭に浮かび、『面白い』とか『行ける』と感じることがある。そういう感覚の時は、エピソードやプロットが決まっていないのにも関わらず、いきなり書き始めてもすんなり書き終えることができる。
逆に、トピックスが浮かんでも書き始められないこともある。少し時間をかけてエピソードを書き出しプロットを組んでも書き終えることができないのだ。幾ら面白そうなエピソードを組み込んでも、いくらスマートなプロットを頭で整理しても、どうしても書き終えることができないのである。
天才達や棋士の皆さんと一緒にして欲しいと言っているのではない。
しかし、書こうとした瞬間に『気持ちが良い』と『気持ちが悪い』が存在しているのである。
今、いきなり書き始めて20分。やはり気持ちが『行ける』と思うと早い。