今日、太川陽介さんがメインキャストを務める『バス旅VS鉄道旅』の秋田・青森編を観た。9月に放送されたもので、大館能代空港をスタートして、青森市のフェリーターミナルがゴールである。

 太川さん率いるバスチームは浅利陽介君と土屋アンナさん。村井美樹さん率いる鉄道チームはノッチさんと高山みなみさん。両チームともゲストの頑張りが凄くて、前のめりな程のチームワーク。バス旅チームのゲスト二人は6キロ歩いて直後5km走ったり。鉄道旅チームは三人で3km走って少しして2km走るとか。

 とにかくデットヒートの様相を呈していたが、バス旅組が僅か40分差で勝利。負けた村井キャプテンは悔しがりながらも太川キャプテンの名前を呼びながら歩み寄り、抱きついて泣いた。太川さんはどうしたのと少し驚きながらも抱擁した。お互いに精一杯戦った悔いの無い満足感が溢れていた。他のゲストも涙ぐんでいて、戦いの後の清々しさが際立っていた。

 本来、戦いというものはそうあるべきだと強く感じて、私も胸が詰まった。


 大相撲九州場所は大関の琴櫻の初優勝で幕を閉じた。来場所は綱取りの場所となる。優勝を決めた千秋楽の大一番では、力強い相撲で相手の態勢を崩させる相撲だった。あの相撲を取っている限り、今後は盤石とさえ思える内容だった。

 その後の発言でも、驕(おご)りも行き過ぎた緊張もない心の持ちようが感じられた。

 一方対戦相手は、負けて引き上げる花道で感情を露わにしながら、足が滑ったと悔しがっていたそうだ。観ている僕からすれば、圧力負けで自身の態勢を整えることができなかった実力不足なのだが、どうやら本人は違う様だ。

 相撲はそもそも神に奉納する勧進の意味合いを持つ。武器を持たない二人が力の限り戦うことで、神を祀る神社の邪気を祓い、民に降りかかる災いを吹き飛ばす。神事であるが故に勝敗に執着して感情を爆発させる事はあってはならない。

 琴櫻関は自身の振る舞いの基準として、対戦相手の前では勝っても喜ばす、負けても悔しさを出さずを心掛けていると答えていた。この発言で、彼が今後どの様な位置に居ようとも応援しようという気持ちを強くした。


 ラグビーにはノーサイドの理念がある。テニスでもバドミントンでもバレーボールでも、柔道などの格闘技も、試合が終われば互いに歩み寄る。そして、一旦は感情を抜きにして、敗者は勝者を讃え、勝者は敗者を労(ねぎら)う。それがスポーツであり、戦うという事である。悔しさは心に秘めて次に向かう原動力とするべきである。


 勝負の中にこそ礼節があると僕は思う。