大好きな詩人、谷川俊太郎さんが亡くなられた。92歳だった。
氏の言葉との出会いは、1989年に放送された、タモリさんとNHKのディレクター小出五郎氏がナビゲーターを務めた『驚異の小宇宙・人体』。そのオープニングで谷川俊太郎さんの詩が流れる。
『生命 それは 遠く海に 遠く宇宙に そして星屑に連なるもの』
その様な言葉と意味合いの散文である。冒頭部分だけで、しかも言葉が不鮮明で申し訳ないと思う。氏によってつむがれたこの言葉たちに感動し、氏の思いに納得した。生命の真理を、その長大な歴史とじりじりとした歩みを、わずか数語で言い表す文章を美しいとさえ思った。僕が人生で初めて感動を覚えた詩だった。
僕は好んでは詩を読まない。しかしながら、数年後に氏の詩集『空の青さをみつめていると』を買った。細かくは書かないが、数片の詩が今も心に残っている。氏の作品は、人々が不思議と感じる科学的な方面の事柄を独特な言葉で表現するのが大きな特徴だと思う。
氏の様な感覚を持った人は、詩人であれ小説家であれエッセイストであれ、今後出てくるとは思えない。
氏のご冥福を心からお祈りすると共に、素晴らしい言葉たちを世に送ってくださったことに感謝します。