ひとつ所で頑張り動じなくなる事を『根を張る』とか『根が生える』と表現する。ご存知の通り、植物は芽が出て根を張るとその場所から動かないことから生まれた表現である。

 しかし、根を張った場所が栄養の悪い場所だったり日当たりの悪い場所だったり、不利な環境から抜け出せないことも多いだろう。

 最新の研究では、栄養を与え合ったりするとともに、意志を疎通させようとする植物の営みや働きかけが存在することが分かっている。ここからふたつの例を説明するが、推定されている事ではなく、学術的に確定している事実である。


 一つ目は、地中のネットワーク。


 良く、森の中の新芽が細々と時間をかけて成長していくのを見かける。陽の光があまり届かないのに大変だと思う。しかし、森の木々は、キノコに代表される菌類の菌糸を介して栄養を遣り取りしている。

 地中には菌糸があまねく存在し、木の根にも伸びている。菌糸はエネルギーを生成できないため、木の根から糖分を補給する。代わりに、木々は必要な無機塩類(ミネラル)を菌糸から受け取る。いわゆる共生である。

 森の木々は、菌糸のネットワークを介して、生まれたての新芽に糖分などのエネルギーを与え、光合成に頼らずとも成長出来るように支えている。


 もう一つは、コミュニケーション能力。


 ある植物が、天敵とも言える虫に葉をかじられると、被害を広げないように阻害物質を生成したり、自ら葉っぱを付け根から落としたりする。加えて、同じ種類の植物の別の個体に危険を知らせるために、葉から化学物質を放出する。その物質は風に乗り、知らせを受け取った別の個体は、天敵に近寄られないように、あらかじめ阻害物質を生成する。

 防衛機能が完璧に働き虫達が生きることができないと、花々の受粉にも影響するので、虫の食料である葉っぱはある程度食べられなければいけない。豊かな自然は、全てバランスを保ちながら継続的に再生する。


 森は、豊かな地中のネットワークを基に反映していると言っても過言ではない。その森を切り開き、簡単に地面を掘り返して良い筈などない。地球温暖化の切り札とも言える森林は守らなければならない。


 どこかの国の新しく決まった大統領は、地球温暖化は学者達のでっち上げだと発言した。レベルが低いのにも程がある。


 彼は4年で指導者を引退する。

 それがせめてもの救いである。