BS-日テレの『ドランク塚地のふらっと立ち食いそば』と言う番組をご存知だろうか。にこやかな体型で、自身が大好きだと言う立ち食いそば店を巡る30分番組である。
目的のそば店の前に、途中で気になった場所なりお店なりが織り込まれる。彼の人柄も相まって、この出会いが実に楽しい。
中落合の放送回で、友禅染のふじや染め工房が紹介された。確か三代目が対応されて、塚地君が実際に染め体験をする。初めてだと言うが、画面越しにも彼の手際に驚かされる。
友禅染といえば京友禅や加賀友禅に代表される日本の染め文化の最高峰だが、こちらの工房の前を流れる神田川でも友禅流しをしていたとのこと。僕は東京に疎いが、フォークソングに出てくる神田川で友禅流しとは興奮する。
それ以上の詳しい歴史は語られなかったが、当然、二大友禅染のいずれかで修行をされたのが初代で、その後今に至るまで歴史が紡がれているものと想像する。
技法があり、それを習得し、その後どの地に行こうが引き継げるものはある。しかし、帯と手拭いを中心にと言うお話をされていたが、この工房で手がけられた工芸品を更に仕立てる技術も存在してこそである。
能登での災害を機に改めて輪島塗の産業としての復興、継続と技術の継承がクローズアップされた。木の切り出しと基本加工、その後の木器の加工など、様々な工芸者が携わっての伝統技術である。
必要とされなければ、いかに高い技術を誇ろうとも文化は絶える。必要不必要の波は揺れ動く。その中で、いかに生き残ろうとするのか。技術を保持する方々の正念場と言えるかも知れない。
旅行先で思う。『これ』を作るのに、一体何日かかるのだろうかと。