地球上には、雌雄同体の生物が存在する。


 植物では雌雄同株といい、雌花と雄花を咲かせる。瓜科の胡瓜や南瓜、栗などである。

 他方、雌花を咲かせる株と、雄花を咲かせる株が別々に存在する雌雄異株。イチョウが有名である。


 虫では、ミミズやカタツムリやナメクジなど。例えばミミズは体内にふたつの生殖巣を持っている。地中では出会う確率が低く、出会った個体同士は、どちらの個体も受精、産卵することができる。


 では、魚ではどうだろう。


 クマノミは雌雄両性の期間を持ちながら、多くは雄として成魚になる。その後、2匹がペアになると、体の大きな方が雌になる。

 もう一例がコブダイである。コブダイは雌性先熟の性質を持ち、生まれたときは全て雌である。何年か経ち、体の大きい個体の頭にコブが出来て雄になる。そして、ハーレムを形成し、⒈mを超えるまでに成長する。

 ゴブダイはベラ科だが、ベラも含めてこの科の仲間は雌性先熟がほとんどである。


 目線を変える。


 フグのことを『鉄』呼ばわりするのは、ご存知の通り卵巣に猛毒があり、その毒に『当たって』しまうことからである。技術と経験が無い人が捌くと、当たる可能性が高くなる。その為、フグの調理は現在免許制である。

 ところが、達人でも処理に間違いをきたす事がある。なぜか。ごくごく稀に、精巣に小さな卵巣が紛れている事があるからだ。精巣は毒を持たない。故に、紛れている卵巣が見落とされる為に事故につながる事が分かっている。

 フグは本来雌雄同体ではないが、生物にはその様な事が起こり得るのである。


 割合としては高くなくとも、数としては多くの人が抱える性の認識やその為に起きる感情は、生物として当たり前に『起こり得ること』だと思う。ミミズは下等生物だからとか、魚と一緒にするなとか言われそうだが、そうではない。生物してのレベルの高い低いでは無い。

 地球上の生命が、より多様な繁栄のために選択した手段が『性』であり、その発露の形態は様々なのである。


 生物は様々な性の傾向を持つ。その一端のヒトも、様々な可能性が当たり前に『あり得る』ことを知るべきだと思う。