旅先でも、どこかに出かけても食べたくなるのがお刺身や丼などの海鮮!日本は海に囲まれて美味しい魚介類が食べられて、僕たちは本当に幸せだと思う。

 ところが、昔と打って変わって高くなった魚種もある。


 僕が子供の頃のお刺身といえばマグロだった。うっすらとした記憶だが、安いけど一番美味しいと母が話していた。おそらく、値の張るのは鯛とか平目とか白身の魚。中間にブリとかが入っていたような気がする。ところが今ではマグロが一番と言っていいほど高い。本マグロなんて100g当たり1000円になることさえある。

 いずれにしても我が家ではマグロが定番で、滅多に他の刺身は食べなかった。世界的に需要が高まり、生息数の減少から漁獲制限が始まり、価格が変わった典型と言ってもいいだろう。


 もうひとつは鯨。鯨も安かった。時代が移り、食べた事のない人も多いかもしれないが、生姜醤油で食べるのが大好きだった。鯨が安かったので、我が家ではベーコンと言えば鯨だった。油たっぷりでとても美味しかった。豚のベーコンを知ったのは中学校に入ってから。

 ところが、哺乳類である鯨類の保護と生息数の回復のために、日本の伝統漁業でもある鯨を好き勝手には取れなくなった。40年ほど前に商業捕鯨が一才禁止されたのである。研究目的の捕獲だけ許されて、その時に出た肉が少しだけ市場に出回る。一気に高値になった。

 オーストラリア出身の女性アメリカ人歌手は、哺乳類であり知能の高い鯨類を食用にする日本人の野蛮さを猛烈に非難した。

 確かに獲り過ぎだったと思う。生息数もかなり減っていたのだから。しかし、文化として古来から四国や紀伊半島沖で漁をしていた事まで否定されるのは納得がいかなかった。だって豚だって牛だって哺乳類だろうにと思ったものだ。日本人の鯨食文化が一斉に世界に否定されたのが悲しい。


 人の視点は生きている国によって、時代によって、地域によっても違う。


 ま、いっか。

 お刺身が食べたくなってきた。