気になる音楽が耳に飛び込むんでくると、誰が歌っているのかも分からないのに、歌詞の一片を入力して曲を探し出す。今では当たり前のこと。思えば便利になったものだと思う。

 気に入ったらダウンロード。月額500円のサブスクで。ついでに、その歌手の曲をもっと聞きたいと思えば、あの曲もこの曲もダウンロード。いやはやである。


 小学生の時は歌謡曲の時代。TVの音楽番組を必ずと言っていいほど観て、曲を口ずさんでいた。中学生になるとフォークソングを聞くようになった。井上陽水、かぐや姫、ガロ、チューリップなどなど。何とも懐かしい。

 家にステレオは無く、音楽の元はラジオかカセットテープ。当時、NHKの地元局のFM放送で18:00から『こんばんは6時です』という1時間のリクエスト番組を放送していた。リスナーからのハガキを中心に据えて番組を進める。

 ハガキを読まれると次の朝は大変である。へたをすると他のクラスからも人がやって来る。読まれる事はすごい事なのである。

 「〇〇中学校34HRのT.Nさんからのおハガキです。えーと、最近席替えがあり、以前から好きな人と近くになることができました。とっても嬉しいです。ガロの学生街の喫茶店をリクエストします」

 こんな内容だとそれこそ大騒ぎである。


 目当ての曲がかかる直前の無音の一瞬、録音ボタンを押す。周りの雑音は拾わずにラジオの音だけを録音出来る。オーディオで言うところのラインインの機能である。自分だけのライブラリーが作れるFM放送は音質が良く、エアチェックに適していた。

 TVの歌番組や歌謡雑誌『明星』で歌手を知り歌を知る。で、みんなのリクエストを元に流れる歌を録音をする。たまに友達とカセットテープの貸し借りもしたものだ。


 ちなみに、放送局に遊びに行った時は面白かった。4人でスタジオの外でうろちょろしていたら、中に入ったらと言われ、少しだけ出演もした。忘れられない思い出である。