少しずつ秋がやってきた。最低気温が11℃とか12℃とか、一桁の気温が近づいてきている。つい10日前までは最高気温が30℃だったのに、容赦なく寒くなる。そろそろストーブの準備を始めようか。


 我が家では30年近くFF式のファンヒーターである。吸排気管を備えており、外から空気を取り込み、排気も外に出してしまうので、一酸化炭素が室内に残らない便利な方式である。

 煙突要らずで、準備といっても大層なことではない。周りを片付けて、ファンのフィルターの埃を取るくらい。


 子供の頃はポット式のストーブだった。黒い円柱型の燃焼室で、横にボックス型の操作機器類が付いている。このストーブは煙突が必要だった。


 冬が近づくと、物置からトタンの煙突を引っ張り出してくる。付けっ放しだと雀が巣を作るので、毎年外しては取り付ける。

 念のために煙突の内側の煤(すす)を落とす。しまう時に掃除はしているが、念のためである。2本の太めの針金を撚った(よった)先に金ブラシが付いた専用の道具を使う。

 ストーブを持ってきて、置く。背面にある排気穴からL字のパーツで立ち上げ、何本か繋ぎ合わせて壁に開けた穴から、外に突き出す。で、またL字で立ち上げ、屋根のひさしに余り近くない位置で、T時のパーツを取り付ける。

 仕上げに、繋ぎ合わせた煙突がぐらつかないように、針金で固定する。部屋の中は天井に針金で固定する。V字になるイメージである。外は外で専用の金具で壁から離れた場所に固定する。

 一連の作業で2〜3時間かかる。


 煙突をつけ終わったら、試しに点火する。煙突の継ぎ目にズレがあれば、煙がしみ出たり、臭いを強く感じたりする。大丈夫であれば、あとは冬を待つばかりとなる。


 僕は中学生頃から一人でこの作業をした。面倒臭いとは思わず、逆に一人で出来ることに誇りのようなものを感じていた。


 秋には秋の、冬には冬の仕事がある。次第に色々なことを任される。だからこそ大人になってから困らないし、生活が回るのである。