子供の頃、宇宙少年ソラン、スーパージェッターなど、不思議な力を持った主人公の活躍に胸を躍らせた。
週刊漫画雑誌でも大好きな主人公がいた。バビル2世である。横山光輝原作で少年チャンピオンに連載された。僕はそちらは買わずに、コミックと言われる一つの作品だけの単行本で読んだ。
超能力を使い、身体能力も桁外れで、やはり超能力を持ち世界制覇を目論むヨミと戦う。ストーリー展開は当然のこと、僕はバビル2世の超能力に憧れた。
そして、ユリ・ゲラーが現れた。スプーンを曲げ、壊れていた時計を動かすなど、超能力者として一世を風靡した。その後、スプーン曲げ少年が現れたり、生放送中に視聴者の時計が動いたなど、波紋を広げていった。
不可思議な現象として、遠距離で暮らしている双子の姉妹が同じイメージを共有するという話もあった。もう記憶していないが、色々な『不思議』が取り上げられて世間を騒がせた。
僕も例外では無い。すぐさまスプーンを取り出して曲げてみようとした。そして画面の向こうでスプーン曲げに成功した少年少女を羨んだ。その類いの特番は何度となく放送され、ディレクターも一躍時の人となった。
ある日僕は屋根に登り、仰向けに寝そべってスプーンよ曲がれと念じながらこすり続けた。最後の挑戦のつもりで、誰にも邪魔されない屋根の上でひとしきり頑張った僕は、自分にはその力が無いと踏ん切りをつけた。そして晴々と屋根の上を楽しんだ。暖かい日差しと風が心地良かった。
ブームは2、3年だった様に思うが、時が経ち忘れ去られていった。その後、スプーン曲げ少年が、あれはバレない様に力で曲げていたとネタバラシもあった。ちなみにユリ・ゲラーはマジシャンだったようだ。
他方、科学技術は超能力とは違い、理論、根拠に基づいた『新しい力』を僕たちにもたらす。
SF小説やSF漫画で近未来が描かれ、やがて映画など映像の世界にも登場した。それらのうちの幾つかは現代で実現している。そして、小学生の絵画展では、今なお近未来を題材に作品を募集して、子供たちそれぞれの夢は僕の心を楽しませてくれている。
科学技術の進歩は凄まじく、あなたが今想像している『夢』もいずれ現実となることだろう。