僕の誕生日は8月だが、娘から数日遅れでプレゼントがLINEで届いた。娘には、もうプレゼントは要らないと、自分のためにお金を使いなさいと何年か前から伝えていたので、貰っていなかったことに気付かなかった。
9月初めの二日間、一泊二日でのホテル宿泊である。予定が入ってる日を聞かれていたので、三人で遊びに行く予定を考えているのかと思いきや、妻と二人で行ってらっしゃいとのこと。僕たちを思い遣ってくれることに心が潤う。一方で、部屋付き露天風呂に食事付き。高かっただろうにと思ってしまう。
露天風呂には、着いた日に二度、帰る日に一度の計三度浸かった。食事も素晴らしく、妻と二人でゆったりとした時間を過ごし、周辺観光も愉しんだ。
娘への初めてのプレゼントは、一歳の誕生日。『しろくまちゃんのほっとけーき』という絵本だった。20cm四方の正方形の絵本で、娘が布団に入ってから、毎晩読んであげた。娘は二歳の誕生日を迎える前に、ひらがなもカタカナも覚えて『ほっとけーき』を一人で読む様になっていた。
その後も娘へのプレゼントは絵本で、小学3、4年までは続けたと思う。
飲み会で帰りが遅い日以外は、毎晩絵本を読み、子守歌を歌ってあげた。100曲ほど収められた童謡集の中からその日の気分で選んで。そろそろ寝つきそうだと感じると、少しずつ声を落としていく。ある夜、もう眠ったと思って歌うのをやめたら「もっと歌って」と言われたことがあった。あれはショックだった。一時間は歌っていたから。
何年か前、娘に尋ねたところ、本を読んでもらい、歌を歌ってもらったのは覚えているけれど、何を読んでもらったか、何を歌ってもらったかは覚えていないそうだ。
娘は今年26歳。今も変わらず愛おしい娘である。妻と私が抱くその想いと、生まれてから今まで積み重ねた時間が娘の性格の一端を成していると感じる。
娘の誕生日は10月。今年は何をプレゼントしようか悩むところだ。