夏休みが終わって二週間が経つけれど、毎日の忙しさと、再び始まった友達との交流にやっと慣れてきた頃かな。

 僕は夏休みというと縁側での生活を思い出す。海水浴も友達とのチャリ冒険もあるが、出掛けてばかりいたかというと決してそうではない。嫌でも宿題はしなきゃいけないし、出掛けても午前だったり午後からだったり、天気や友達の都合によって様々。必然、それ以外の時間の多くは家で過ごすことになる。


 家の中に僕一人の部屋はなかった。でも、小学校の高学年になると、自分の居場所が欲しくなり、ある方法を思いついた。縁側である。縁側は長さがニ間(約3.6m)、幅が一間(約1.8m)あった。細いけど、十分な広さ。そして、二間の幅一杯のガラス戸が開放的な空間だった。そこにあったものを片付け、机やら何やらを置いて。隣の部屋との間に、襖と同じ大きさの一部ガラスをはめ込んだあかり障子があり、ある程度のプライベートを確保できた。夏の日中は開け放して風を通していたけれど。


 縁側では勉強はほとんどせず、自分の好きなことに大半の時間を費やした。

 マブチモーターを買って電池で動くあれこれを作ってみたり、カラクリもどきの木工をしてみたり。あと、宇宙に興味が湧いてからは、百科事典で調べてはふむふむと言いながらノートに書き写し、その中に聞いたことのないワードが出てくれば、今度はそれを調べて書き写して。繰り返していたら大学ノート5冊にもなっていた。最後の頃は、調べても分からないワードが出てこなくなって、終了。当時の百科事典には宇宙の事柄が少なかったのかも知れない。

 他には、めちゃくちゃ本が好きだったので読書。中学生から高校一年までは年間50冊ほど読み、中学3年時は100冊を超えた。


 自分の居場所、自分の時間は本当に大切だと思う。別にひとり部屋がなくても家族と一緒の空間の一画であっても。そして、好きなことを心置きなく、時間の許す限りすることも大事。


 今の僕が思い出しても胸が熱くなる。

 一生の中の大切な時間、大切な思い出になって、いつまでも心を照らしてくれる。