新過程になり物理の科目は、物理基礎と物理の2つになりました。
物理基礎の教科書(啓林館)の目次を見ると、
第1部 物体の運動とエネルギー
第1章 物体の運動
第1節 速度
第2節 加速度
第3節 落体の運動
第2章 力と運動
第1節 力
第2節 運動の法則
第3節 様々な力と運動
第3章 仕事とエネルギー
第1節 仕事
第2節 運動エネルギー
第3節 位置エネルギー
第4節 力学的エネルギーの保存
第2部 物理現象とエネルギー
第1章 熱とエネルギー
第1節 熱と温度
第2節 熱量
第3節 熱の利用
第2章 波とエネルギー
第1節 波の伝わり方
第2節 波の性質
第3節 音波
第4節 音源の振動
第3章 電気とエネルギー
第1節 静電気
第2節 電流
第3節 交流と電磁波
第4章 エネルギーとその利用
第1節 いろいろなエネルギーとその利用
となっています。これまでの物理Iと近い内容です。
では、「物理」の内容はどうなっているでしょうか?
教科書(啓林館)の目次を見てみましょう。
第1部 様々な運動
第1章 物体の運動とつり合い
第1節 平面内の運動
第2節 放物運動
第3節 剛体のつり合い
第2章 運動量と力積
第1節 運動量の保存
第2節 反発係数
第3章 円運動と単振動
第1節 円運動
第2節 慣性力と遠心力
第3節 単振動
第4章 万有引力
第1節 万有引力
第5章 気体分子の運動
第1節 気体の状態方程式
第2節 気体分子の熱運動
第3節 熱力学第1法則
第4節 期待の状態変化と熱・仕事
第2部 波動
第1章 波の性質
第1節 波の伝わり方
第2節 波の干渉と回折
第3節 波の反射と屈折
第2章 音の性質
第1節 音波
第2節 ドップラー効果
第3章 光の性質
第1節 光の進み方
第2節 光の性質
第3節 レンズと球面鏡
第4節 光の回折と干渉
第3部 電気と磁気
第1章 電界と電位
第1節 静電気
第2節 電界
第3節 電位
第4節 コンデンサー
第2章 電流
第1節 電流
第2節 直流回路
第3節 半導体
第3章 電流と磁界
第1節 磁気力と磁界
第2節 電流が作る磁界
第3節 ローレンツ力
第4章 電磁誘導と電磁波
第1節 電磁誘導の法則
第2節 磁界中を運動する導体の棒
第3節 自己誘導と相互誘導
第4節 交流
第5節 電気振動と電磁波
第4部 原子・分子の世界
第1章 電子と光
第1節 電子の電荷と質量
第2節 光の粒子性
第3節 X線
第4節 粒子の波動性
第2章 原子・原子核・素粒子
第1節 原子モデル
第2節 放射線と原子核
第3節 原子核反応と核エネルギー
第4節 素粒子と宇宙
全体としてみると、新しく加わったトピックスは、
・球面鏡
・太陽電池
・電磁波(扱いが詳しくなった)
・不確定性原理
・トレーサー法
※素粒子と宇宙からどの程度出題があるかは不透明
という感じでしょうか。センター試験では、新しく加わったトピックスから出題されやすいので要注意です。
ところで、センター試験の「物理」の試験範囲はどうなるのでしょうか?
上記の目次の「物理」の範囲からの出題になるのでしょうか?
それとも、「物理基礎」+「物理」の範囲からの出題になるのでしょうか?
大学入試センターに電話して確認してみました。
担当者の話は、次の通りです。
--- 以下、担当者の話 -----
『物理』の受講者は、『物理基礎』を学び終えていることが前提になるので、『物理基礎』の内容は理解しているものと考えます。
ですから、『物理基礎』の範囲からの出題がないとは言えません。しかし、『物理基礎』のどこの範囲から出題しますということもできません。
--- 担当者のお話はここまで ----
つまり、簡単に言うと、
センター試験の「物理」には、物理基礎の範囲からも出題される
ということです。
これによって、理系の受験生のセンター対策法が大きく変わります。
旧過程では、センター物理の試験範囲が物理Iに限定されていたため、狭い範囲からの出題にもかかわらず平均点を60点程度に抑えるために、
・盲点をつく問題
を4割程度出題する傾向がありました。
そのため、受験生は高得点を取るために、盲点を突かれないようにセンター特有問題に対する対策をする必要がありました。
しかし、新過程のセンター試験「物理」は、2次試験と同じ試験範囲からの出題となるため、それほどひねった出題をしなくても平均点を60点程度に抑えることが可能です。
新過程により、センター試験と2次試験の出題傾向の差は、これまでよりも小さくなることが予想されます。
また、センター試験と2次試験で解法を統一することができるようになります。
旧過程では、センター物理に単振動、電気振動、交流などが含まれていなかったため、センター物理までしか受験しない生徒にとって、微積分を使って物理を学ぶメリットはあまり大きくありませんでした。
しかし、新過程では、センター対策と2次試験を区別せず、微積分を使って学んだほうが分かりやすくなります。
出題傾向が見え、高得点を取るための道筋もイメージできたので、5月中に、新過程のセンター物理の問題選定と解説講義の作成に取り組みます。