齟齬と慢心 | のんびり

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「セクシー田中さん」漫画原作者自死事件に対する小学館側の報告書が公表された

これで関係2社双方の見解が揃ったことになる

 

日本テレビの報告書を読んだときに既に小学館と話を通しているのか?と思ったがそうでも無いのかな

 

小学館側としてはこれまでの実績から「難しい作家」を認識していて、当該作品映像化の話があった当初から漫画原作者の意向を相手方(日本テレビおよび脚本家)へ配慮しながら伝えていた。ということは間違いないように感じる

 

それに対して日本テレビ側はこれまでの慣例の通りという認識があったのだろう、何かあると快諾しているが実際は映像化が始まってしまえばこちらの流れになるという慢心もあったように感じられる

 

小学館側の報告書のP.22〜23を読んでそんな風に思った

 

2023.6/10

小学館・社員Bからの明確な要望メール

”「その先のドラマオリジナル展開に関しては、芦原先生の方から、脚本もしくは詳細プロットの体裁でご提案させて頂けませんでしょうか」
許諾条件という程ではないとし ながらも、「はっきりとした要望として」検討することを求めた。”

 

 

日本テレビ社員 Y 氏・承諾メール

”「結果進めさせて頂くとのことで承知しました。9話あたりからのドラマオリジナル展開に関して芦原先生の方から、脚本もしくは詳細プロットの体裁でご提案して頂く点も承知しました。芦原先生の原作の世界観もあると思います ので具体的に頂ける ほうが良いと思います」”

 

さらに同日には要望を承諾した日本テレビ社員 Y 氏と小学館・社員Aが電話で確認している

”日本テレビ社員 Y 氏に対して、芦原氏からプロットを書いてもらう方向で進めたいと提案した。
(なお、社員 A によればこの提案は、プロットを忠実に脚本に起こしてもらえるならば、という前提での案であり、
この時点で芦原氏の脚本執筆を条件から外した事実はない。)”

 

少なくともこの時点に以後おいて漫画原作者側からの意向を認識できなかったという言い訳は日本テレビ側にはできない、と普通は解釈すると思う

これ以前から再三懸念を示し確認をしている様子が窺えるが、あくまでも取引先に最大限配慮してしまっていることから弱腰(無視しても差し支えない)と思われていた可能性も大いにある

 

 

あとはSNSに対しては個人的な感情を公表することは個人の自由であることから、会社の利害を根拠に止めることは不可能なことは明白だ

そうなる前に調整役である日本テレビ側がことの顛末を正直に脚本家に説明して、謝罪と承認を得る必要があったのは間違いない

 

恐らく事件として明るみにならなければ、事なかれ或いは悪い成功体験として同様のやり方を以後も通していた可能性が高い

日本テレビは避けられる事態を静観して、自分たちに非がないという態度を崩さなかったのだろう

そうでなければ脚本家の怒りの矛先が漫画原作者に100%向けられてあのような事態に行き着くなんてことはあり得ない

 

 

見事に調整役として失敗しているが、それをあくまでも「我々はその条件を知らなかった」と言い張る姿勢は褒められるものでは無い

いくら大手企業でも増長がすぎる

 

 

契約書がなかったことが問題であるようにも記されているが、それは時と場合によってスケジュール的に無理な場合もあることは理解できる

契約書がなくても成り立つ関係というのが信頼である。信頼がないと契約書が必須となる

 

アメリカのように裁判大国で何をするにも書面契約が必須で、それが無いと自己防衛もできない。というお国柄であればそれも必要であるが、ここは日本であり関係2社及び漫画原作者も脚本家も日本人である

 

わざわざ信頼関係を大きく損なってまで自社責任を回避し続ける姿勢もいかがなものか?

今後日本テレビとの仕事は契約書が必須になるということになるのだろうな

 

 

やはり日本テレビ側の報告書には何かが欠けているとしか言いようがない

と思ったのだ