早く観にいきたいと思いつつ、なかなか行けなかった映画をやっと観ることができました。



「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」



1920年代に書かれた短編小説が原作。ブラッド・ピット演ずる主人公は、老人の姿で生まれ、赤ちゃんになって死んでいく。順行する精神と遡行する肉体の変化のアンバランスに苦しむ姿は胸に迫ります。



精神と肉体がクロスして均衡を保つ人生の中盤のいっときに、ブラピの美しさが光り輝きます。ヒロインであるケイト・ブランシェットの凛とした透明で硬質な美しさが、ブラピの少年っぽい魅力を引き立てます。老いていくケイト・ブランシェットの表現力には、心を打たれます。



個人的には、主人公の初めての女性を演じたティルダ・ウィンストンの爬虫類顔が好き。「フィクサー」で悪事に手を染め、精神的に追い詰められていく、製薬会社の女性幹部を演じた人でした。



周りを囲む俳優たちも演技がすばらしくて、あり得ない話だけど、あり得る話のように感動。最新の視覚効果技術を駆使してありますが、そんなことも感じさせず、クラシカルな美しい映像で、歴史的な映画を観たような後味です。



アカデミー賞最多18部門にノミネート。うち3部門(視覚効果、美術など)を受賞。