【最終章】6/19隠岐の島ウルトラマラソン備忘録

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いつもそうだが、今回は特に
80キロからの90キロ地点までが一番辛く、

めちゃくちゃ長い道のりに感じた。

というのも
1キロさえも走ることができなくなり、
ついに歩くことさえも

しんどくなってきていた。

歩く時に使うふくらはぎの筋肉が
全然、前へ行かせようと

してくれなくなったのだ。

周りにもそんなランナーが
ポツポツと現れ、走っては歩き、
走っては歩きの繰り返しさえも
ついに出来なくなっているのを

たくさん見かけるようになった。

そして残り15キロで
ついに歩くのを止めた。
完全に静止状態。ここは
休まないと回復しない。

ランナーさんでない方は経験がないと思われるので、

説明しますが走り続けられ無くなった時は一旦、

歩いた方がまた走り続けられます。

歩いているうちに回復するのです。

今回は歩けなくなったから

一旦休んで回復を待つ作戦なのです。

止まったらもう立ち上がれないんじゃないかと

思われる方多いですが逆なんですね。

とはいえ
時間はジリジリと過ぎてゆく
「このまま歩かないとなると
アクションプランが崩れてしまう」

わかっているから余計に焦る。

3〜5分ほど休憩しただろうか、
再び立ち上がり、
歩き始めようとしたところ
すぐに私設エイドがあった。

結構豪華なエイドだったので、
ダメもとで聞いてみる
「コールドスプレーありますか？」

エイドの方が
「もう無いかもしれないけど、
あっちに聞いて」と言われ

そのコトバに少し凹む。

かなりメンタルも病んでいた。

言われた通りに奥の方へ聞くと
「あったけど、もう入ってないかもよ」と
と言われ再び落ち込む。

胸の中にグサグサと刺さる

しかし目の前に出された
スプレーは視界に入った。
まあまあデカい。

もし入っていたら
めちゃくちゃ効くだろうにと
半信半疑ながら手に取る。

ずっしりと重さを感じる。
「ヤバい！めっちゃあるやん」

心の中で叫ぶ、もちろんコトバにも出る

もうそれだけで心が回復してゆく、
助かった、これでなんとか復活できる！

とふくらはぎへ掛けまくり、
膝や太ももにも。

あの時のスプレーがなかったらと
思うと結果は全然違ったものになっただろうと、
今更ながらに思います。

歩くとふくらはぎにダメージがくるので
ここは走れるところは走って
時間を取り戻す。

そしてついに待ちに待った
90キロ。

そしてラスト2キロの地点にある
赤橋が見えた。

この大会ではいつもこの赤
橋をみるとついにここまできたんだ、
ようやく帰ってきたといく
気分にさせてくれる。

さてここから10キロ。
短いようで長い10キロ。

ここからも適度に
アップダウンがある
丘のコース。

最後の関門が95.9キロ地点。
ここを19時までに通過しなければアウト。
時計を見ながら、
適度に歩いたり走ったりで無理はせず、
隠岐空港を横目に見ながら
丘を徒歩で駆け上がる。

そして念願の関門は
18時半過ぎに通過。
残り4キロで50分貯金。

この時点でようやく
心に安堵感が広がる。
ここまで来て、

ようやく本当の
完走という栄光のゴールが

確信に変わる瞬間でした。

ここまでくるために
積み重ねたものが
全て結実する。

ゴールすることが
許された気分が心から溢れ出て、
10時間以上にわたって苦しんでいた
苦労が水の泡のように消えていった。

オキシトシンという

幸せホルモンが分泌されていたのかも。

ここをピークに後は下り坂。
それまで丘を歩いていた分
軽やかとまではいかなくとも走れる。

脚の痛みももう忘れた感じ。
傾いていく夕日に
早くゴールしたいとの一心で駆け降りる。

そしてついに目の前に赤橋が現れた。
巨大な西郷大橋が我々を迎え入れてくれる
ゴールを許されたものしか渡れない
橋の中間にある残り2キロの表示。

ここから一気に街中へ入る、
警察の方々がクルマを止めてくれて
ランナーを優先させてくれる。

一歩も立ち止まらなくていい
待っていてくれる運転手の方も
温かく見守ってくれる。

さらに橋を渡り終わり、
右へ曲がり小さな橋を渡り終えると
左へカーブする。

沿道が人で溢れかえり
声援が大きくなる。

なんだろうあれだけ重かった脚が
氣持ちだけで自然と脚が前に進む。
あんなに重い足取りだったのに。
でも今はなぜか軽やかに走れる。

この応援が元氣にさせてくれる。
やっぱりなんだかんだで
最後は気持ちなんだなと核心。

ゼッケンの色で100キロランナーと分かると
多くの人が感嘆な声を挙げて
エールを送ってくれる。

こだまする
「お帰りなさい」
「よく頑張った」
拍手の連続。

沿道の反対側からも声援が飛ぶ。
応える余裕も
もちろんあるくらい
気持ちが乗っていた。

そしてラスト1キロに
S家のご主人が立っているのを見つけて
こちらから手を振り気づいてもらった。

「スタートからずっと、
ありがとうございましたー」

さあ最後のトンネルです。
ここを抜け上り坂を上がり左へ曲がると
ゴール地点のレインボーアリーナの入口。

前は数人のランナーがいて
後ろを振り返ると
だいぶ離れたところに女性ランナーの姿

ここは1人スポットライトを浴びれる。
そんな確信も嬉しさを増す。

最後の直線に入る手前に
マットが引いてあり、
ここが実質ゴールになっている。

既にタイムは計測が終わっているので
後はその栄光のゴールを
思い思いのまま駆け抜けていくだけ。

直線を向く。
150mくらいあるのだろうか
MCの女性の方が聞こえてくる

「ゼッケン番号1085番、
福岡県からお越しの
佐々木たかしさ〜ん！
素晴らしい走りをありがとう
お帰りなさ〜〜〜〜〜〜い」

と叫んでくれて
ゴールへ飛び込む。
今年は栄光の
ゴールテープさえも無くなっていた

長い長い自分との戦いが終わった瞬間。
いや〜なんとも言えない、
ただただ「帰ってこれた」
という安堵感。
もう、それだけ。

ウルトラマラソンのゴール後は
いつもこの完走できた安堵感が
実に心地よく心を包み込んでくれる。

フルマラソンでは
決して味わえない
違った感情と感覚。

身体は疲労感いっぱい。
途中で一緒に走っていた出雲のランナーさん
マリオの格好で走ってました

トボトボと歩きながら
荷物を受け取り、
アリーナ全体に引かれた
ブルーシートに地べたに腰を付けて
ゆっくりと着替えを始める。

戦い終わったランナーが
一人一人ため息をつきながら
着替えを始める、

3年ぶりのその光景が
今年もなんとも美しく見える。

着替えに30分もかかり、
ようやく自分の順位を掲示板で知る。

350名ほどの参加者に対して
出場したのが260人くらいで
ワタシは150位。

後で聞いたが完走率は60％
いつもより20％ダウン
かなり過酷な戦いだったと思う

ちなみに福岡では
第3位（だって3人しか出てない笑）

日没を迎え
暗闇に包まれそうな中、
アリーナ近くにあるS家の玄関へ
ようやく到着。

中へ入るとS家の
ご主人、奥様、そして
Sさんが奥からやってきて
3人でお出迎え。

パチパチパチパチと手を叩いて
「おめでと〜う」と
お祝いしてくれました。

いやいやもう本当に
「応援ありがとうございました」
という言葉しか出来ませんでした。

100キロ走って
即こんなに祝福されたの初めて。
本当に嬉しいって、
こういうことだよな。

完走というプレゼントが
出来て本当に良かったです。

なんだかおもてなしにや応援に
応えられた感じでした。

お風呂も用意してくれてて
即入って夕飯へ。

お寿司を注文していてくれて、
お楽しみの打ち上げが
見事に50キロを完走した
Sさんの旦那さんも交えて始まりました。

8時半あたりから始まった5人による
打ち上げも大いに盛り上がって
12時前に就寝。

色々とダメージが多かったようで
前日飲んだほどビールは飲めず
酔えなかったのか、
謎に3時に起きてスマホを
扱い始めてしまうほど（笑）

4時過ぎになると元氣のいい
鳥のさえずりが聞こえて、
寝てもすぐに目が覚めて、
心地よい時間はあっという間に
過ぎてしまいました。

10時のフライトですので
9時には空港へ届けてもらい、
S家のご主人とSさんのお二人に
お別れを告げていよいよ帰福へ。

空港ビルに入ると
横断幕が用意されて町長と
ツーショットが撮れそうだったので
記念に撮ってもらい
今年の隠岐の島ウルトラマラソンは
終わりを告げました。

これで獲得したメダルは３つ。
残り４つを4年連続でGETすれば
栄光のレインボーホルダーランナーとし
てレインボーTシャツが授与されます。

あと4年は6月になると
隠岐の島へ渡ることになりそうです。

来年へ続く

今日のブログはここまでです

いつも読んでくださり

ありがとうございました

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