令和2年9月議会において、白石たづ子が6月議会で質問した「ICT化における環境整備及びGIGAスクール構想について」賛成の立場で討論を行いました。下記にその内容を掲載いたします。ぜひご一読下さいませ。

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一般会計補正予算第80号議案について賛成の立場で討論を行います。

今回「GIGAスクール構想」として、Society5.0時代を生きる子どもたちに、一人一台の端末を整備し、多様な子どもたちを誰一人取り残すことのない、公正に個別最適化された学びを全国の学校現場で持続的に実現させるという方針が示されました。高速のネット環境や端末はインフラの一つとなる時代がいよいよやってきます。今後、本市でも国の方針を見据え、整備を進めていく予定であるとお伺いしています。
 

一人一台の端末の配備は、子どもたちに瞬時に多くの情報手に入れることを可能にします。しかし、一方で、「多くの情報から、必要な物を見つける力」「情報には正しいものとそうではないものが混在しており、正しい情報を見抜く力」を育てないと、子どもたちは情報の渦に翻弄されてしまうのではないかと危惧します。ICTに堪能というよりも、「学習に用いて、ここでICT機器を使うと、これができるようになる」という想像力が必要なのだと思います。

 

これまでも、文部科学省の「教育のICT化に向けた環境整備5カ年計画(2018~2022年)」においては、「各学校において、コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え、これらを適切に活用した学習活動の充実を図る」ことが明記されるとともに、小学校においては、プログラミング教育が必修化されるなど、今後の学習活動において、積極的にICTを活用することが明記されておりました。

 

しかし、教員を対象に実施したOECD「2018年教育環境の国際比較」において、「中学校で生徒に課題や学級での活動にICTを活用させているか」という質問に対して、日本は17.9%、参加48国中47位という結果でした。ちなみにトップのデンマークは90%、世界の平均は51.3%です。そして同時期に行われたPISA調査(15歳の生徒対象)では「多人数オンラインゲームで遊ぶ」「チャットをする」子どもの割合は、参加国中1番でありました。

 

日本の子どもたちにとってコンピュータは学習ツールよりも遊びのツールであるという実態も見えてきます。高度情報化社会に向け、文房具と同様に教育現場に不可欠なものとして活用し、小学1年生からICT機器に触れ、子どもたちの可能性を広げていくため、集団での学びが適さない児童・生徒や、学校に来られない児童・生徒でも学習を継続できる環境を整備することが必要であると考えます。
 

GIGAスクール構想とは、子ども達への1人1台端末と、高速で大容量の通信ネットワークを一体的に整備し、特別な支援を必要とする子どもを含め、多彩な子ども達の資質・能力が一層確実に育成できる教育ICT環境を実現する計画のことです。変化の激しい社会を生きる子ども達に対して、ICTを活用し新しい教育へシフトしていくことを表しています。


文部科学省では、1人1台に端末を整備することにより、従来の全員が同時に同じ内容を学習する一斉学習から、一人ひとりの教育的ニーズや理解度に応じた個別学習、個に応じた指導が可能になるとしています。多様な子どもたちを誰一人取り残すことのない個別最適化された学びの提供は、まさに本市の教育が目指すべきところであり、大いに期待するところであります。
 

実施に当たっては、先進的な事例を参考することはもちろん、児童・生徒たちの意見も聴き、試行錯誤をしながら柔軟に進めていただきたいこと。
 

国のGIGAスクール構想は、新型コロナウイルスのような感染症や自然災害の発生等による学校の臨時休業等の緊急時においても、子どもたちが家庭において学習を継続し、また、学校と児童生徒のやり取りが円滑にできる環境の整備までを含んだものとなっております。学びの機会を保障する観点から、家庭における遠隔学習の環境につきましても、迅速に整備されるよう要望いたします。


1人1台端末環境をより実効性あるものとするためには、指導する教員やサポートスタッフの増員、実施計画の策定、研修の充実、さらに、各校の取組みを評価・見直しを行う体制やルールづくりが急務となります。教職員の負担軽減や体調管理に十分に配慮をした上で、本市として総力を挙げて取り組んでいただきたいことを要望いたしまして賛成討論といたします。