老生は存じ上げなかったが、読売新聞が昨日の朝刊で大きく扱っていた、建築家のノーベル賞ともいわれるアメリカプリッカー賞を受賞された山本理顕先生(78歳)は素晴らしい建築家だと思ったので、取り上げさせていただいた。すでに何度かご披露しているが、現役時代、街づくり、戸建て住宅団地、マンション建築などの企画、広報などに携わっていたので、安藤忠雄先生、菊竹清訓先生など有名建築家の先生方に仕事を依頼し、その出来栄えには満足していたが、山本先生の建築家としての信条に感銘を受け、僭越ながら書かせていただいた。

 

受賞を受け先生は「建築は200年後の人にも役立つものでなくてはならないと思ってやってきた。正しいと言われたようでうれしい。」と述べられていたとの事。「モニュメンタルメンタルな作品ではなく社会や環境の問題を含め、周囲の人が賛同する建物を作るのが建築家の役割」と語られておられる。人々の心の中に自然に入り込めるコンセプトだ。現役時代にこの先生に仕事をお願いできたら、どんなコンセプトの街が作られ、個々の戸建て住宅が共棲する様子を自身の目で見ることが出来ただろうと想像するだけでも楽しい。

 

先生の作品として、熊本県営団団地、広島市消防署、東日本大震災の仮設住宅の居酒屋「みんなの家」岩手県や福島県の仮設住宅などでは人々が顔を合わせやすいように玄関が向かい合うなどが先生の作品として紹介されている。しかし、「集落全体をどうすればいいか提案してこなかった。地域を守るための計画を建築家の側から示さないといけない」とも仰って、「能登では被災地全体を見て回ったうえで地域の人々のコミュニティをいかに保つか地元の建築家と議論したい」との事。高齢にもかかわらず「これからも人の集まり方をデザインする建築を作っていきたいと」意欲を示されている。お会いしてみたい先生だ。