地元の茨城県看護連盟(山本かほる 会長)・公益社団法人 茨城県看護協会(白川洋子 会長)よりご要望を頂きました。

 国においては「新しい資本主義」の実現に向け、人への投資と分配を進めるとされています。現に、産業界では政府の方針に沿って賃上げが進んでいます。しかしながら、医療機関や訪問看護ステーション、介護保険施設等は公定価格(診療報酬・介護報酬等)により運営されており、電気代等のエネルギー関連費用をはじめとする諸物価高騰の直撃を受けてもこれを価格に転嫁することができず、職員皆様の賃金引上げを行いたくてもそのための原資がないとう状況です。令和4年度診療報酬改定では「看護職員処遇改善評価料」を新設しましたが、これも一部の医療機関に勤務する看護職員のみを対象としているため、看護職員だけをみても、全体の3分の2にあたる約100万人がなお対象とならない状況です。

 先般、新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画において「すべての職場における看護師のキャリアアップに伴う殊遇改善のあり方について検討する」とされたことを踏まえ、国家公務員医療職俸給表(三)が見直され本年4月より施行されました。これを契機に、民間病院等の看護職員皆様の賃金に波及することが期待されますが、これも医療機関等の経営が成り立ち、安定して原資が確保できることが前提となります。このような状況にあって、すべての看護職員の賃上げを実現するには、国からの医療機関等に向けた更なる財政措置が必要です。

 医療・福祉分野の就業者数は、2022年平均の就業者数6,732万人の14%にあたる908万人おられますが、そのうち約19%(173.4万人、2020年就業者数)が看護職の皆様です。すべての看護職員の賃上げを実行することは、労働者の所得向上につながり、成長と分配の好循環が実現します。

 各業界が人材確保に鎬を削っている中、優れた担い手が育つよう、医療機関等の看護職員皆様の処遇改善のために力を尽くします。