今日も自民党本部では、国防・外交部会や教育再生、デジタル社会推進など多くの政調会・部会が開催されていたが、多くの国々がAIに関する開発・利活用に力を入れ、今後の成長戦略の中心に据えていることから、人工知能未来社会経済戦略本部の会議に参加した。

 

 法哲学が専門の大谷雄裕 慶応大学法学部教授の「AIと規制―法との関係で」という演題のお話しを聞いた。

 違法な行為と知っていても、その規範意識を乗り越えて法を犯すのは、発見される可能性が低くどうせ見つからないだろうと考えるからである。そのようななかで、AIを活用した規制によりこれまでには考えられないような効果が見いだされるという。

 

 ここで例示されたのは、中国の「交通違反者暴露台」で、交差点の状況をIOTデバイスで情報収集し、AIによる分析で信号を無視する交通違反者を感知すれば、即座にその者の顔を当該交差点に設置してある大型のディスプレイに映し出す。さらに、顔認識技術により違反者を特定して、罰金の請求書送りつけるので、みんな信号を守るようになったという。

 

 こんにちの顔認識技術の発展は目覚ましく、街角に設置された防犯カメラのデータを一元管理してAIで分析すれば、たちまち全国指名手配が出来てしまう。使い方によってはプライバシーを侵害する恐ろしいツールになり、完全に自動化されたAIの危険性がわかる。

そこで、EUではAIによる完全自動化処理を禁止するAI規制法案がある。他方、日本では人間中心のAI社会原則(統合イノベーション戦略推進会議)が唱えられている。

 

 これまでの法による規制とは違った、行動変容をもたらす手段となり、従前の立法政策が大きく転換することにもなるから、国会議員は特に理解を深めなければならない。