議員立法の「生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律案」が本日の衆議院本会議で可決され、成立しました。

 

 日本産婦人科学会によれば、平成30年に体外受精で生まれた子は、約5万7千人と、生まれた子の約16人に1人を占めるまでになっています。

 

 これは生殖補助医療の発達により、卵子を体外に取り出して受精させることができるようになった結果で、多様な生殖をどこまで許すべきかを考えなければならないところにきています。

 また、第三者が関わる体外受精など、生殖補助医療により生まれた子の親子関係が複雑になっているなどの問題も指摘されています。

 

 そのような社会的な背景から、この法律案は、第三者から卵子や精子の提供を受けた生殖補助医療で生まれた子どもの親子関係を明確化する民法の特例を定めるものです。

 具体的には、

①   女性が、他の女性の卵子を用いた生殖補助医療により子を妊娠・出産したときは、出産した女性を、その子の母親とすること。

② 妻が、夫の同意を得て、夫以外の男性の精子を用いた生殖補助医療により子を妊娠した場合、夫は、その子が自分の子どもではないと否認することができない、とするものです。

 

 なお、生殖補助医療そのものに対する倫理的な問題や、法律上の親が血縁上の親と異なる場合に、子に血縁上の親を知ることができる「出自を知る権利」が保障されるべきとの考えが広まっていることなども背景に、本法案では、

・生殖補助医療及その提供に関する規制の在り方

・生殖補助医療により生まれた子に関する情報の保存・管理、開示等に関する制度の在り方などについて、おおむね2年をめどに検討を加えるものとされています。

 

 急激に進んでいる生殖補助医療の実態を踏まえて、まだまだ考察しなければならないことが多くあります。