萩生田文部科学大臣が閣議後の記者会見で、今年の日本遺産の認定結果を公表しました。

 今年は69件の申請があり、そのうち21件が認定されたなかに、地元の「かさましこ~兄弟産地が紡ぐ“焼き物語”~」が入りました。

 

 「日本遺産」の認定は,2020年度までに100件程度行うこととしており、新規認定の募集は今年度が当面最後となっていますので、滑り込みセーフということになり、本当に良かったです。

 

 対象地域は茨城県笠間市と栃木県益子町で、共通の特産品である陶芸の魅力を核として発展しようとするもので、その価値が理解されたものと思います。

 

 ここに言う、焼き物の地「かさましこ」は、古代から同じ文化圏でしたが、江戸時代に入り別々の道を歩み、18世紀後半から再び、製陶を通じてつながりを深くした地域です。

 この地の作風は使い勝手のいい日用品を定番としていましたが、存続の危機に陥ると時代に合わせた革新に挑み、多様な魅力を発信する産地へと変貌を遂げました。

 

 何れの地域も、その自由でおおらかな環境が創造する者を惹きつけ、今では600名を超える陶芸家が活躍しています。

 美意識を追及し新しい生活造形を生み出す「かさましこ」は、訪れる人の五感をも刺激し、暮らしに寄り添う独自の陶文化を醸成し続けます。

 

※令和2年1月22日、山口伸樹笠間市長、大塚朋之益子町長、佐藤勉衆議院議員とともに萩生田文部科学大臣を訪問。

 

※今回、茨城県の牛久市と山梨県の甲州市の、「日本ワイン140年史~国産ブドウで醸造する和文化の決勝~」も登録されました。

  【日本遺産・主旨と目的】

 我が国の文化財や伝統文化を通して地域の活性化を図るためには、その歴史的経緯や、地域の風土に根ざした世代を超えて受け継がれている伝承、風習などを踏まえたストーリーの下に有形・無形の文化財をパッケージ化し、これらの活用を図る中で、情報発信や人材育成・伝承, 環境整備などの取組を効果的に進めていくことが必要です。

 文化庁では、地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリーを「日本遺産(Japan Heritage)」として認定し、ストーリーを語る上で不可欠な魅力ある有形・無形の様々な文化財群を総合的に活用する取組を支援します。

 

 世界遺産登録や文化財指定は、 いずれも登録・指定される文化財(文化遺産)の価値付けを行い、保護を担保することを目的とするものです。

 一方で日本遺産は、既存の文化財の価値付けや保全のための新たな規制を図ることを目的としたものではなく、地域に点在する遺産を「面」として活用し、発信することで、地域活性化を図ることを目的としている点に違いがあります。