旧優生保護法(1948~1996年)下で障害者らに不妊手術が繰り返された問題で、衆参両院の厚生労働委員会は9日、立法経緯や被害状況の調査を近く開始する方針を固めました。

 

この旧優生保護法は終戦の年の3年後、我が国が食料も住居も不足したどん底の状態で制定されたものです。戦後の混乱のなかで、生まれる子どもを減らそうという流れがあったとしても、障害者を差別した異常な判断に基づくものです。

 

障害者に対する人権侵害を容認していた旧法の制定過程や背景の解明は、重要な意味があります。調査は厚生労働委員長の指示により、今国会中に始まる見通しですが、被害者の高齢化が進んでいるとともに、調査範囲が広いため3年程度かかるとみられています。

 

問題は、旧優生保護法が議員立法で全会一致により制定されたということです。いかなる時代背景があったとしても、かかる人道を外した立法を許したことの、十分な検証がされなければなりません。