本法案の改正案について、3人の参考人の意見陳述の後、参考人に対する質疑が行われました。参考人は、それぞれ大学の教授や、犯罪被害者救済組織の代表、弁護士で、危険運転の問題に精通しており、法改正の効果から、罪刑法定における明確性の原則など、法律論としても聞き応えのあるものでした。

 自らも、酒酔い運転の暴走による事故で娘を失った、参考人の心情をお聞きし、再発防止の必要性を強く感じた次第です。

 

 昨今、あおり運転による悲惨な事故の報道が多くなっているのは、ドライブレコーダーの搭載が一般的になったことや、スマートフォンで映像が残されることで、表面化する例が多くなっているわけです。しかし、このような蛮行が路上で繰り広げられているとは、まことに憂慮すべき状況です。これが日本人の姿かと、残念な思いになります。

 

 東名高速道路であおり運転を受け、追い越し車線上で停車させられたワゴン車が後続車に追突され、夫婦が死亡した事故は大きな衝撃を投げかけました。しかし、現行法では危険運転とするためには、加害者の車が重大事故につながる速度で走行していることが必要で、一、二審判決は速度がゼロの停車行為を危険運転とは認めませんでした。招来した結果の重大性に見合うだけの処罰規定がないという、法の不備が指摘されていました。

 

 そのような背景にあって、今度の法改正では、次の行為を危険運転致死傷罪の対象としました。

1、 車の通行を妨害する目的で、走行中の車(重大な交通の危険が生じることとなる速度で走行中のものに限る)の前方で停車し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転する行為。

2、 高速道路又は自動車専用道路において、自動車の走行を妨害する目的で、走行中の自動車の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転することにより、走行中の自動車に停止又は徐行をさせる行為。

 

 法務委員会の理事としても、この改正案が賛成多数で可決されてほっとしました。

 法改正による厳罰化で、刑法の一般予防の効果が発揮されて、「あおり運転」が無くなるよう願うばかりです。