新型コロナウイルスに関するワクチン・治療薬等の、研究開発状況について説明を受けました。最先端で取り組んでいる当該分野の第一人者の皆さんによるもので、信頼性が高いものである。

(講師)

国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究所センター長、

東京大学医科学研究所 教授、

国立感染症研究所 感染病理部長

国立国際医療研究センター 国際感染症センター長

 

*ワクチンの開発について

有効性検証に動物モデルが必要だが、有効な動物モデルはまだ不明で、マウス・イヌ・ネコ等で新型コロナウイルスに対する感受性を解析中。最も有効な動物モデルと患者から分離されたウイルスを用いて、ワクチンの有効性を確認することになる。

今後の展開は、ワクチン開発の準備として、幅広い知識を結集する必要があることから、企業との共同開発、もしくは委託することが考えられる。その後に、前臨床試験、そして臨床試験へと進むことになるが、最低でも1年は要すると考えられる。

 

*治療薬について

 現在、既存のカレトラ(抗HIV薬)、アビガン(新型インフルエンザ薬)、オルベスコ(吸入ステロイド剤)、レムデシビル(抗エボラウィル薬)等が検討されている。

このうちアビガンとレムデシビルは日本で企業治験を計画中で、効果が検証できれば有効な治療法として顕著な治療効果が期待され、多くの人々に安心感を与える。

 

 アメリカではトランプ大統領が、巨額の費用を投じて、新型コロナウイルスに効果のある薬剤の開発を進めることを表明している。

 史上初めてのG7首脳のテレビ会議で、安倍総理は「現下の大変厳しい事態を収束するため、世界の人々の不安を和らげるためには何よりも治療薬を開発することが重要だ。G7が協力し、世界の英知を結集して、治療薬の開発を一気に加速すべきだ」と述べているが、同感である。

 

 自然の猛威とも言える、人が抗体を持たない新型感染症の発生と、人類の叡智との競争・闘いである。最先端の科学者の知恵を集めて、一刻も早く治療薬の開発をすることが最も重要だ。

 発生した新型感染症がMERSや、エボラ出血熱のように強毒性のもので、今般のコロナウイルスのように感染力が強いものだったら、おびただしい死亡者が出ることになる。今般の新型コロナウイルスはそれらに比べれば致死率は低いが、全力を挙げて治療薬の開発に取り組まなければならないことは、同じである。