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 それから間も無く、宮殿へ呼び出されたイデアは、奪われたマーズの身を心配して反陽子エネルギーを爆弾に代える作業をしなくてはならなかったのだ。ズールの命令によってマーズの脳波と連動する反陽子爆弾を作らされたのだ。
 しかしその日からイデアは、ガイヤーと共に働かせるつもりだった五体のロボットを、全て合体するように改良していた。
 ガイヤーは、文明を持つ惑星に送られるので、遺跡に擬態したメンテナンス・カプセルに入れられた。それはニカブのような服を着て、紋章が彫られた額当てを着けて杖を持った老賢者の像のようであった。
 イデアは自宅でスフィンクスが入るメンテナンス・カプセルを自作する際に、神像のような形に作って謎の文字を適当に刻んだが、面倒になって、ウラヌスが入るメンテナンス・カプセルは尖塔型氷山に似せた。しかしタイタン、シン、そしてラーが入るメンテナンス・カプセルは、自然物に似せた型のがカタログに無かったので、神像に似せたのを適当に選んだ。
 それから間もないある日、ガイヤーを収納したメンテナンス・カプセルがワープ・カタパルトにセットされ、火を噴いてカタパルトから飛び出して行った。
 イデアは周囲の者に気付かれないようにしてその腕時計の龍頭を押した。間も無く山岳方面に鈍い重苦しい音が響いたかと思うと、五つの光る物が空へ飛び立ち、まるでガイヤーを追うように飛んで行った。
 六つの物体は、太陽系の第三惑星地球を目指して飛んだ。地球の近くまで来ると、ウラヌスが入ったメンテナンス・カプセルは尖塔型氷山に似せて作られていたので、氷山が沢山ある北極海に降下した。ガイヤーが入ったカプセルは、同じ色の岩石で出来ている島に降下した。その島は明神礁であった。残りの四体のカプセルも、それぞれ怪しまれないだろうと思われる場所に降下した。1982年8月10日に起こった出来事である。