英語

 宇宙から来た男がいた。彼の名はラムダレットであった。彼は帰ろうと思って、宇宙船に戻って来た。彼は「地球人は、ぼくの星をおうし座34番星と呼んでいたな」と言うと、宇宙船を発進させた。ところが彼の向かった先には星が無かった。周りを見回したが、故郷の星は見つからなかった。そして星を探し始めたが、燃料が無くなった。そして宇宙船は墜落した。
 彼は宇宙船から出ると、修理し始めたが、ひどく壊れていて、修理は不可能だった。そんな時、近くに流れ星が落ちた。彼がそこに行くと、宇宙船が落ちていた。彼は思わず「カシオペア座3番星の宇宙船だ!」と叫ぶと、宇宙船のハッチを開けた。すると一人の女性が乗っていたので、彼女を、地球で暮らしていた家に連れて行って、ベットに寝かした。

 翌朝、彼女は目を覚ました。ラムダレットが「ぼくはおうし座34番星から来たラムダレットだ。地球ではこの家に住んでいる」と言った。彼女は「私はテルティア。カシオペア座3番星系に住んでいたけど、その星が超新星爆発を起こしたので、脱出して来たの」と言った。ラムダレットは「わかった。ぼくが働いて養ってあげるから、この家にいても良い」と言って家を出た。そして彼は考えた。
 おうし座34番星は6等星だった。6等星が爆発したら凄い明るさになるから話題になるはず。するとどこかに動いただけかも知れない。
 そして天文台に行くと、助手にしてもらった。

 ラムダレットは仕事の合間に、おうし座について調べた。エルナトという星は、ぎょしゃ座ガンマ星であると同時に、おうし座ベータ星でもあったが、星座境界線が決められた時に、星自体はおうし座ベータ星という事になったが、星系全体はおうし座領とぎょしゃ座領に分断され、行き来が困難になり、多くの家族が引き裂かれたままになっている。しかしおうし座34番星に関するデータは載っていなかった。

 ラムダレットが帰って来た時、テルティアはスパゲッティを作っていた。ラムダレットは「動けないのに無理しちゃ駄目だ。でもありがとう」と言って食べると「カシオペア座風ソースか。蜂蜜と黒胡椒を混ぜたのかな」と言った。するとテルティアは「ごめんね。そのソースは家から持って来ただけで、作り方は知らないの」と言った。
 翌日、ラムダレットは天文台に行くと、仕事の間に星座の歴史を調べた。初めは48の星座と、星座の間の不定形と、ヨブの南の密室があった。大航海時代に、それまで住む人のいなかった南の密室に、新しい星座が作られ初めた。そして不定形にも新しい星座が作られ始めた。そして各星座間で領土争いが始まった。そして全天は混乱したので、銀河大帝マガッラー が、星座境界線を決めた。その時アルゴ座は余りにも大きかったために分割されて、四人の王子達にりゅうこつ座、とも座、らしんばん座、ほ座が領土として与えられた。その後現在に至るまで、星座境界線は変更されていない。

 アルフェラッツはペガサス座デルタ星であると共に、アンドロメダ座アルファ星でもあったが、アンドロメダ座の領土と決められ、星系はペガサス座領とアンドロメダ座領に分断された。
 ネンブスはペルセウス座ユプシロン星であると共に、アンドロメダ座51番星でもあったが、アルフェラッツと同様にアンドロメダ座の領土とされた。
 ペガサス座とアンドロメダ座とペルセウス座は、同じ民族で、文化も言語も共通なので、それ程混乱はしなかった。
 ブラキウムはさそり座ガンマ星であり、さそり座族が住んでいたが、てんびん座領とされ、てんびん座シグマ星になった。てんびん座政府は博愛精神で、さそり座語とてんびん座語を両方とも公用語として認めた。
しかしバサニスムスはぼうえんきょう座ガンマ星だったがさそり座G星になり、じょうぎ座のアルファ星とベータ星も、それぞれさそり座N星とH星になった。これらの三つの星の住民はさそり座族ではなく、さそり座語を話さないが、放送は全てさそり座語で行われ、あらゆる文書がさそり座語で書かれ、学校ではさそり座語が教えられた。そしてぼうえんきょう座語やじょうぎ座語を話した者、さそり座語を知らない者は、見つかり次第刑務所に入れられた。

 ラムダレットが帰って来た時、テルティアは寝ていた。彼は「ちゃんと休んでたな。グッドだ」と言って、料理をした。するとテルティアが「あなたはおうし座から来たと言うけど、この味付けは、おうし座料理とは違うわ。黄道十二星座の味がまんべなく混ざっていて、土星料理に似たところもあるわ」と言った。ラムダレットは「土星の隣の星は木星と天王星じゃないか」と言った。するとテルティアは「木星料理には似てないわ」と言った。
 そこで翌日、ラムダレットは仕事の合間に天王星について調べた。
 天王星は、プラス5.6等と、肉眼でも見える明るさなので、発見前にも、何度か恒星として観測されている。1690年に、ジョン・フラムスティードがおうし座34番星として記録した。フランスの天文学者ピエール・シャルル・ルモニエは1750年から1771年までの20年間も、天王星の観測を続けてその運動をべていたにもかかわらず、学会に報告をしていなかった。1781年3月13日に、ウィリアム・ハーシェルが双子座を観測していて、見慣れない天体を見つけた。彼はそれが新天体であることには気づいたが、彗星だと考え、3月22日に彗星を発見したと発表した。報告を受け取ったネヴィル・マスケリンは、彗星というより惑星のようだと判断して、ハーシェルに連絡をした。その後ハーシェルは観測を続けて、円軌道を仮定して軌道を求め、観測結果を説明することに成功した。求められた軌道長半径は18.93天文で、新天体は土星のはるか遠方の、それまで思われていたよりもずっと巨大な天体であることがわかった。これ以後、新天体は惑星とみなされるようになった。ハーシェルは新惑星をイギリス国王ジョージ3世にちなみ、ゲオルギウム・シドゥス(Georgium Sidus)、つまりラテン語で「ジョージ星」という意味の名前を付けた。後に、Sidusは恒星であって惑星ではないという指摘を受け、ジョージアン・プラネット(Georgian Planet)に改名した。しかし、イギリス以外では普及しなかった。1784年にジョゼフ・ジェローム・ルフランソワ・ド・ラランドが提案した、惑星ハーシェルは、フランスの天文学者の間に広まった。その後も多くの名前が提案されたが、最終的に、ヨハン・エレルト・ボーデが提案したウラヌス(Uranus)が広まった。1827年までにはイギリスでもこの名が最も一般的になり、全ての天文台がウラヌスに切り替えたのは1850年だった。

 ラムダレットは帰って来ると、テルティアに「君のお陰で帰れるかも知れない。有り難う」と言った。するとテルティアは「それは良かったね。あなたが帰った後、私みたいな怪我人でも働けるかしら」と言った。するとラムダレットは「君を一度も医者に診せなくて済まなかった。一緒に来ると良い。ぼくの星では医療費は無料なんだ」と言った。
 翌日、ラムダレットは彼の宇宙船と、彼女の宇宙船を分解して、使える部品を使って、一台の宇宙船を作った。そして二人は宇宙船に乗って飛び立った。

 昔のギリシャとユダヤでは、ギリシャ文字とへブル文字は、数値を表すのに使われていました。ラムダはギリシャ文字で、30という意味であり、ダレットはへブル文字で、4という意味です。そしてテルティアは、ラテン語で三番目という意味です。