2012年の本屋大賞と映画化で話題の三浦しをんさんの作品。
姉に借りて読んでみました。
いやぁ面白い！
あらすじ
主人公の馬締は言葉に対して鋭い感覚を持っていた。
玄武書房の辞書編集部に配属になった彼は大辞林や広辞苑に並ぶ中型辞典「大渡海」の編集プロジェクト進行役を任される事に。
辞書編集には天才的な才能を発揮する馬締だが、それ以外は何をやらせてもトンチンカンで、対人関係も苦手。そんな彼が恋に落ちる。彼の心を込めたラブレターの結果は？
抜擢されるやいなや、プロジェクト打ち切りの危機を迎え、人員削減を余儀なくされた結果、正社員は馬締一人になってしまう。しかし、人並外れた彼の才能と情熱は途切れることなく15年の歳月を経て形になっていく。
大学教授への原稿依頼、辞書事業にかかる経費、紙の選定、記載漏れ、辞書の編纂にはこんなにも膨大な時間と労力がかかるのかというカルチャーショックとともに、「言葉」を大切にする人達の様々なエピソードの中で、今まで何気なく使っていた言葉について考えさせられます。
私はホロ苦い西岡君のエピソードが好きでした。情熱を向ける先を持たない彼に共感する人も多いんじゃないでしょうか？
「舟を編む」という題名も読み進めていく内にその意味というか、味わいが出てきます。昔と今が繋がっているのは言葉があるからなんですね。「記憶とは言葉なのだ。」作品を読まないとピンとこない台詞ですが、最後は感動で涙が出そうになりました。
今まで何気なく使ってきた「辞書」。どれだけの情熱と苦労の上に成り立っているのか、それを知るだけでも読む価値のある一冊でした。