昨日4混について書いたばかりですが、現在日本中の小児科が大混乱してます。。。


というのも、急に4混ワクチンが姿を消してしまったからです。


原因は、ワクチンメーカーの化血研で作られているワクチンに不備があったため。

厳密にはワクチンそのものには問題はなく検定も通っていたそうなのですが、メーカーと厚労省が交わす文書に「齟齬」があったためという、何とも事務的な話


でも、そのせいで先日は化血研のインフルワクチンの出荷が遅れ話題になりましたよね。


インフルワクチンに関しては緊急性が高いということで、厚労省が「まあ品質に問題はないから、出荷してよし」とのお達しがあったため、一部マスコミが「足りない!」などと騒いだりしましたが、結局大事には至りませんでした。


ところが、化血研が出している他のワクチンについては引き続き出荷停止されたままです。

4種混合の「クアトロバック」、日本脳炎の「エンセバック」、B型肝炎の「ビームゲン」が主なもの。


このうち日本脳炎とB型肝炎については緊急性は低いのですが、困るのは4混です。


4混は現在、化血研の「クアトロバック」と田辺三菱製薬の「テトラビック」の2種類があります。

昨日書いた「スクエアキッズ」は未発売です。


で、クアトロバックが無くなってしまったため、全国から注文殺到しているのがもう片方のテトラビックです。

そのためこちらも一気に品薄になってしまい、現在入手困難となってます・・・


当院も急いで卸業者にテトラビックの注文をしたのですが、「入荷の目途が立ってない」とのこと・・・



当院では充分な量の在庫を確保しているのですが、それでも現在4週間先までの予約分しかありません。

それ以降については、入荷の見通しが立たないため、現在新規予約を止めさせてもらってます。

他のクリニックも、徐々に4混の予約を止めるところが出てきています。


これは大問題です。



すでに1回以上接種しているお子さんなら、仮に2~3か月あいてしまっても影響は少ないのですが、まだ1回も接種していない赤ちゃんが問題です。

特に怖いのが百日咳

免疫のない乳児が感染すれば、咳だけでなく無呼吸発作を起こし命にかかわります。


過去にも1970年代に、当時の3混ワクチンに問題があり一時的に接種中止したことがあったのですが、たちまち百日咳が大流行した例があります。


ワクチンを一時的にとはいえ中断するってのは、それくらい恐ろしいことなのです。



しかもインフルワクチンに関しては「緊急性が高いから」という理由で出荷OKにしたわけだから、同様に緊急性の高い4混ワクチンだってOKにしなきゃならんでしょ?緊急性が低いと考えたってこと??

繰り返しますがワクチンそのものに問題はなく検定も通ってます。ただ単に文章的な「齟齬」があっただけなんです。



{9E4B7093-BF5B-489B-8747-13665B1AABD1:01}



つ~か「齟齬」ってなんだよ・・・


厚労省は、化血研が「届け出たのと違う製造方法をしたから」と説明してますが、ど~もお互い何かをなすりつけ合ってる雰囲気がプンプンしてきます。


しかもしかも!!

件のインフルワクチンについて出荷OKとしたのは10月21に行われた厚労科学審議会感染症部会という会議だそうな。


今後4混も出荷OKにするためには、同じくこの会議にかけなければならないそうなのですが、「だいたい月に1回のペースで開かれている会議なので、次回は11月20日ごろになるのでは」と言われてます・・・


悠長すぎる。


その間に当院のように在庫が無いため新規予約を止めた結果、百日咳に感染してしまう赤ちゃんがどれほど出ると思うのでしょうか。

少なくとも「感染症」を取り扱う会議なわけだから、過去の例も踏まえて、どんな事象が想定されるのかをちゃんと考えていただきたいものです。



そもそも10月の会議の段階で「インフルだけはまあ~緊急性が高いからOK」としてる段階で、その会議に出た役人や専門家たち、終わってます・・・


百日咳は感染力が強く、そして乳児が感染すれば死ぬ病気である、という危機感を厚労省の役人や専門家たちが持っていないということです。


それか、それを分かっててあえてインフルだけしかOK出さなかった可能性も・・・

メーカーと役人のくだらない喧嘩に、巻き込まれるのは無関係の子供達なんですが。。。