アトピー性皮膚炎の治療の基本はステロイド剤です。
まあ世の中色々な「民間療法」が氾濫してますが、アトピーの根本を考えてみれば、ステロイドが最も理にかなった治療法であることは理解できると思います。
なので僕に言わせれば「ステロイドなしでアトピーを治療!」などと自慢している人たちって、そもそも本当にアトピーだったのか?と思ってしまうわけですが。
でもって、そういうまことしやかな謳い文句で胡散臭い製品を売りつけたり怪しげな民間療法に引き込もうとする「アトピービジネス」が世の中にはびこってますから、気を付けなければなりません。
というのも、こんな仕事をしていると気付くのですが、世の中アトピーもどきが非常に多い。
「もどき」と言ってもアトピーに似ている病態のことではなく、本当はアトピーじゃないのに知識のない医者から「誤診」されてしまってるケースのこと。
アトピーでもなんでもないただの湿疹・肌荒れなのに「アトピーだね」と言いステロイドをてんこ盛り、、、ってケースが多いのは何度も書いてきました。
ステロイドにワセリン、内服まで出されたけれど一向に治らず当院に駆け込み、「アトピーじゃないと思うからまず適切なスキンケアだけしてみようよ」と僕に指導されて治ってしまう人ばっかなんですよね。
当院にはるばるやってくるお子さんの9割がアトピーじゃないです。
アトピーじゃないってことはステロイドは不要です。
スキンケアを指導してステロイドなしの治療を教え、当然治り、皆さん安心して帰っていきます。
でも残念ながら1割くらいが本物のアトピーです。
そういったお子さんには僕は躊躇なくステロイドを処方します。
(繰り返しますが、基本的なスキンケアのスキルをちゃんと身に着けてもらうことが前提です)
大事なことは適切なスキンケアをちゃんとしたうえで、強くてもいいからステロイドを使い肌の炎症を一気に抑えこんでしまうこと。
そうやってこれ以上経皮感作が起こらないようにし、アトピーの進行をくい止め治癒にもっていく、というのが僕の治療法の基本です。
アトピーである以上、治療の目的は、
1.皮膚の炎症を抑える
2.経皮感作を防ぎ、進行をくい止める
この2つです。
そのためにはステロイドは不可欠だと考えています。
それなのにステロイドを使わずチマチマと(治りもしない)民間療法を続けていると、皮膚の炎症が持続してしまうため経皮感作がどんどん進みます。
アトピーが本格化してしまい、治らなくなってしまうわけですね。
民間療法を否定はしません。
でも、あくまでも「西洋医学」による的確な治療とスキンケアが徹底されていることが前提で、その上で補助的に行われる位置づけであるべきだと考えます。
当然ながらそれで「うちの子は治ったわよ!」なんて人もいるでしょう。
でもそれはあなたのお子さんの肌がその民間療法にたまたま合っていたか、実はアトピーなんかじゃなかったか、どちらかでしょう。
(実は多くが後者)
その方法が天下万民に通用するかどうかは別次元の問題。
自分のお子さんが治ったのであれば、それでいいじゃないですか。
間違ってもそれが「正解」かのような言い方で周囲に勧めて回るのはやめにしましょう。