最近、米国で「吸入ステロイドにより低身長になってしまう」といった趣旨の論文が数多く発表されていると報道されました。


僕は件の論文をまだ読んでいないのですが、これが事実ならば今後の喘息の治療に大きな影響をもたらすと考えます。

重要なのはこれが完全な事実ではなく一つの意見だということで、これを100%鵜呑みにしてはいけません!


これまで、喘息治療に使われる吸入ステロイド薬は気管支にのみにしか作用せず体内に入らないため副作用の心配がないものと言われてきました。

実際に吸入ステロイド薬を詳しく調べてみると、なるほど気管支粘膜をコーティングするだけであり、そこから吸収されて体内に入り悪影響を及ぼすことはないという認識でした。


そこに(事実かどうかは分かりませんが)、低身長になってしまうという有害事象の報告。


喘息の治療について各医師が考えるきっかけになると思います。


以前の記事に書いたように、喘息の治療には吸入ステロイドも含めたフルコースから初めて少しずつ減らしていく「ステップダウン方式」と、最初は最低限の治療薬から初めて効果がなければ吸入ステロイドなどを追加していく「ステップアップ方式」の2通りがあります。

こちらを是非ご覧ください!


喘息が疑わしいとすぐに吸入ステロイドの治療から開始(ステップダウン方式)する医師がいますが、吸入ステロイドが無害であるということだったので、僕はそういったいきなりフルコースから始める医師を非難はしませんでした。


ですが、不必要なことは極力したくないという考えで診療していますから、僕は必要最低限の治療から開始する「ステップアップ方式」を使っています。

結果、当院で管理している数百人の喘息患者のうち、吸入ステロイドを使っている人は10人未満であり、それ以外がほとんど内服治療だけでコントロールできています


以前の記事では(吸入ステロイドが無害であると言われていたので)、どちらでもよいという考え方を示していました。


ですが、今回海外とはいえ吸入ステロイドによる有害事象が報告されたということで、真偽のほどは置いといてもやはり治療は必要最低限にとどめておきたいという自分の治療方針でよかったなと、ひそかに胸をなでおろしていた次第です。