予防接種の中で自費接種のものはいくつかあります。


価格設定は各医院の自由ですので、例えばインフルエンザを1回1000円でやろうが30000円でやろうが、勝手です。


ですが、おおまかには仕入れ値より2000~3000円程度の利益が出るように設定するのが通例なので、どこの医院でもだいたい予防接種の価格は同じはずです。


ですが、当院だけ「他より高いのでは?」と指摘されるワクチンもいくつかあります。

別に暴利をむさぼろうとしているわけでは決してなく、ちゃんと理由があります。


例えばB型肝炎ワクチン

当院では1回7350円です。

よく高いと言われます。。。



B型肝炎ワクチンには現在2種類が発売されています。

「ビームゲン」「ヘプタバックスⅡ」です。

両者の違いは、防腐剤であるチメロサールが入っているかどうかで、当院ではチメロが入っていない後者を採用しています。


チメロが自閉症その他の有害事象に無関係であることは証明されていますから、正直言ってどちらでも良いのですが、中には「やはり不安・・・」と思われる方もおられるでしょうから、当院ではチメロの入っていない「ヘプタバックスⅡ」をチョイスしています。



小児のワクチンは接種量が少ないので、バイアル1瓶から数人分のワクチンが取れます。

B型肝炎ワクチンも、1瓶に小児2人分の量が入ってます。


ワクチンは瓶に針を刺して薬を吸いだして使います。

中は無菌状態ですが、針を1回でも刺してしまうと中に雑菌が入ってしまいます

防腐剤のチメロが入っているワクチンであれば2回目を刺して2人分のワクチンを取ることが良いとされていますが、チメロが入っていないワクチンはそういうわけにはいきません。

例えもう一人分残っていても、その瓶には雑菌が混入してしまっている可能性があるため使えません。

廃棄です。

チメロの入っていないワクチンは1人に1瓶が原則と僕は考えます。

中には「24時間以内であれば雑菌が少ないから大丈夫」という先生もおられますが、雑菌の混入具合が保証できない限りリスクある行為はしたくないというのが僕の考えです。


したがって、本来2人分の分量が入っているにもかかわらず1人分しか使用できない「ヘプタバックスⅡ」は、価格を高く設定しないと採算がとれないんです。

なので当院のB型肝炎ワクチンの価格は他よりも高いんです。

ご理解ください。



ちなみに、「ヘプタバックスⅡ」を使用しているにもかかわらずB型肝炎の接種料金が当院より安い病院は結構あります。

採算を取るためには1瓶から2人分取らないと無理なはずなので、きっとそうされているものと思われますが、果たしてどうなのでしょうか・・・

誰が決めたか知らないけど「24時間ルール」というのもあるので、必ずしも間違いだとは断言しません。


が、ただでさえワクチンのリスクが問題視されている昨今、少しでもリスクを減らし患者さんの安心度を高める努力が我々医療者側には求められていると思うのですが。