よくお風邪の患者さんで、
「他の病院でこのお薬をもらったのですが、全然治りません」
といった相談を受けます。
基本的に風邪を治す薬はないです。
風邪の大半はウィルスですので特効薬はありません。
当然ながら抗生剤などは治療になりません。
あくまでも風邪薬で症状を緩和させるだけで、子供の自然治癒力で最終的には治すしかありません。
例えば咳・鼻水が3日前から続いていて小児科を受診したとしましょう。
「風邪です」と言われ、アスベリン・ペリアクチン・ムコダインの風邪薬を処方されたとしましょう。
3日間飲んでも改善しなかったとしましょう。
でも、だからといってその医者がダメだってことには必ずしもならなんです。
ここで「あの医者は治らない」と決めてしまい、他の病院に流れる・・・
他の病院で「これじゃあ治らないよ」と抗生剤をもらう・・・
3日間抗生剤を飲んだら治った・・・
「ああ、あそこの医者は良い医者だ」と思ってしまう・・・
でも結果的に考えると、その子の風邪が治ったのは抗生剤のお陰ではなく、単純に6日間で自然治癒しただけだったりします。
となると追加された抗生剤は余計だったってことになります。
こういうパターンは結構あります。
風邪というのは時間がたてば必ず自然治癒します。
小児科医の役割は、悪化させることなく自然治癒をもたらすことにあります。
なので僕の所に受診に来られても、咳や鼻を押さえる最小限のお薬しか処方しません。
それらは風邪を治すものではなく、症状を緩和するだけのものなのです。
症状が緩和されることにより楽になり休息がとれるようになり、治癒が早まる。
これが小児科の風邪に対する治療の基本です。
(もちろん気管支炎や肺炎を合併してしまった場合は例外です)
中には僕が出す最小限のお薬で「効いた」気がせず、他の病院に流れてしまっている人も多いと思います。
それは残念なことではありますが、でも覚えておいてほしいことですね。
病院をかえて薬をかえたら治った。
はたしてそれは薬をかえたからだと言えるでしょうか??
もしかしたら単純に自然治癒しただけかもしれませんよ???
ただの風邪であれば、まずは一つの病院でじっくり診てもらうってのも必要な場合もあるってことです。
そこで、どうしてもその先生が人格的に信頼できなければ医者を変えればいいと思います。
ですが、3日程度で症状が改善しないからすぐ医者をかえるのはどうかと思うんですよね。